映画『アリー/スター誕生』の真の魅力(ネタバレ)

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『アリー/スター誕生』について、音楽については以前書きましたが、映画についても書きます。あまりこの映画にピンと来ない人もいるようですが、何が面白いのか、考えてみました。

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何がそんなに素晴らしいのか。

・音楽がいい!映像がいい!ドラマがいい!
・上の全てが一体となっている。
・女性映画

といったところだと思います。

一番の見どころはレディー・ガガの歌唱であるところは間違いないと思いますが、だったら、普通にライブ映像を見ればいいという事になるので、やっぱりドラマパートや演技、ストーリーが素晴らしくなくてはいけない。
そこが初監督のブラッドリー・クーパーが、見事に丁寧に作り上げている事が驚きで、さらに役者の彼が歌までバッチリこなしているところでさらにビックリです。



アーティスト主演の音楽映画として稀な成功例
この映画の本当に凄いところは、このドラマパートと音楽が見事にハマっているところです。
各曲の歌詞が、ストーリーの展開としっかり結びついているのはミュージカル的ですが、ミュージカルはここまで繊細なドラマ部分は描けない。
テンポよく、ストーリを展開させないといけない。
その点『グレイテスト・ショーマン』も『ボヘミアン・ラプソディ』も伝記ものミュージカルとして大成功しているのは、多少の人間描写は大ざっぱにしてでも、音楽のノリを失わずテンポ重視で進む。

しかし、『アリー/スター誕生』はこの人間描写を、じっくり、丁寧に描く。クリント・イーストウッド映画のように。。
クリント・イーストウッドの映画は監督自身が作曲してたり、音楽には毎回相当こだわっていて素晴らしいですが、インストとかジャズ。イーストウッド作品のポップスものと言えば、フランキー・ヴァリ&フォーシーズンズの伝記ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』があるが、これも役者が演じているミュージカル。
『アリー/スター誕生』は、主演二人が自分のパーソナルを重ねて監督し、演じ、作曲し、歌っている点で、それを上回るインパクトを生み出すことに成功している。

アーティストの映画挑戦は、演技が下手だったり(ホイットニー?マライア?)、パブリックイメージと役のイメージに違和感があったり(マドンナ?)、破綻する要素が山ほどある。
役者は他人を演じるのが仕事ですが、アーティストは本人が商品で、心の奥をさらけ出すのが仕事ですから仕方ないとも言える。

アーティストを別の人物として見るのは有名アーティストであればあるほど難しい。
音楽ものの映画で、これだけ、ドラマと音楽に説得力を持たせた映画は今まで無かったのかもしれない。それこそ、一作前の『スター誕生』のバーブラ・ストライサンド以来か?


男に媚びないアリー中心のフェミニズム映画
すっぴんで飾り気のない、誰にも媚びない主人公アリー(ガガ)が、スター歌手のジャクソン・メイン(ブラッドリー・クーパー)と出会い、スターになるシンデレラ・ストーリーですが、出会いから、アリーは、このイケメン・大スターに、一切色目を使わない、媚びない。ジャクソンも紳士的。スターなのに偉ぶらない。女性にもゲイにも優しい。ドラァグ・バーに素で溶け込み、スーパーで買い物し、駐車場で語る。
この時点で、ジャクソンがいかに女性にとって理想的な男か。

そして出会い。有名無名、大スターとウェイトレスが、男女、セクシャリティを超えたところで、出会い、歌を通して心を近づけ、心の深いところに触れ合う。。

この、序盤の丁寧な描写から、遂にアリーが、一歩踏み出したところで、この映画屈指の名場面、「Sharow」のシーンに繋がるわけです。ウェイトレスから、大観衆から喝さいを浴びるシンガーへ。夢のような展開。。
そんな最高にロマンティックで、理想の恋+最高の音楽が展開される前半のピークが以下の曲「Always Remember Us This Way」です。


Lady Gaga - Always Remember Us This Way (From A Star Is Born Soundtrack)


ですが、後半、ショービジネスのうねりの中に二人は叩き込まれるわけです。。
アリーをもっと売りたいという、敏腕マネージャーが登場し、ジャクソンの手を離れて、アリーが更にスターへと飛躍していくわけです。ここから、生き馬の目を抜くと言われるショービジネスの荒波に巻き込まれ繊細で弱い男ジャクソンがどんどん堕ちていく。これを延々と見せられるのは男性にとってはつらく。脱落していく人は多いかもしれない。ジャクソンには、『グレイテスト・ショーマン』のような大逆転は無いので感情移入した人はスカッとすることはない。

逆に、アリーに感情移入すると、仕事で挑戦し続け、バシバシ結果を出し、プライベートでは、ダメになるジャクソンをひたすら一途に愛し続けるアリー。ジャクソンへの愛ゆえに悩み苦しむ後半があり、その絶望から自分の足で立ち上がる。この、自分にとっての最高の男が無残に堕ちていく、それでも愛し抜くアリー、、共感する女性は多いのでは?
この明暗が分かれる後半は完全に女性映画です。

前半は男性にとっても気分がいい。無名の女性の才能を見出し、最高の舞台で愛を表現する。しかし、後半は正しい事をしようと思って苦闘しても全てが上手くいかず、誰にも理解されない。薬物とアルコール依存。自分の意見と逆に進み成功し続けるパートナー。これは辛い。。
クライマックス、悲しい事件、強く愛し合いながらも、終わりしか残されない男の最後。そして、そこから力強く自分の足で立ち、全てを歌に込める女。
常に優しくアリーの見方であり続けようとするあまり沈むジャクソン、そんなジャクソンから目を逸らさず愛し続けるアリー。。前半の丁寧な描写があればこそ、この後半が
辛い。。
美しい幸せな愛の前半と、悲劇しかない後半


リアルな音楽ビジネス描写
音楽ビジネスに身を置く私のようなものには、アリーのパフォーマンスやヘアメイク、衣装など路線について疑問を持つジャクソンの意見と真逆に成功街道を突き進むアリーという、シビアな描写にリアリティ感じました。『アリー/スター誕生』は音楽ビジネスの描写もリアルです。そこでのクーパーとガガの本気が伝わり熱くなります。
ダンス・ポップ路線の曲に乗せて、歌い踊るアリーに対して、ジャクソンは、余計なもの等必要ない、本物の歌を歌えばいいんだというような意見ですが、アリーはマネージャーに従い、髪色を変え、メイクし、ダンスし、ポップスターへと変貌します。そして、成功の階段を上り続けます。このあたりは、前半のスターが前日出会った素人をステージに上げるより数倍リアリティを感じます。
このポップスター描写を陳腐なものにし、ジャクソンと奏でる「生」の音楽を本物、打ち込みのポップを「嘘」の音楽として描くことは簡単です。音楽を題材にした映画にありがちな売れ線ポップを軽いもの、間違ったものというステレオタイプな描写。この映画は、特にガガがそんなことは許さない。このポップスター描写も、普通にカッコいい。どの曲もハンパないクオリティ。そんな生半可な甘い世界ではない事をきっちり描きます。
ジャクソンを決定的に追い詰めたマネージャーの言葉も、まさにショービジネスの世界の厳しさを凝縮したようなセリフだ。このマネージャーを悪者にしてしまうと、安易なステレオタイプ「搾取する音楽ビジネス」描写となる。そこへ行かず、それを超えたところで「スター」として生きるアリーを描いているところが、ガガが本気で取り組んだことが伝わる重要なポイントと言える。


レディ・ガガ、存在の意味
アメリカの女性エンタテイナーの頂点であるバーブラ・ストライサンドの代表作の一つでもある『スター誕生』をリメイクしたわけですが、当初の主演候補はビヨンセ。監督はクリント・イーストウッドだったそうで、顔合わせまで済んでいたがビヨンセの出産で実現しなかったそう。結果的にガガとクーパーのコンビで大成功し、これはガガ以外考えられないハマり役になった。この成功によって、ガガは「現代最高の歌姫」(映画のキャッチコピーより)となったわけだが、この「現代最高の歌姫」的なアーティストを挙げると、

ブリトニー・スピアーズ
ビヨンセ
テイラー・スウィフト
ケイティ・ペリー
アデル
アリアナ・グランデ
あたりか。

90年代~2000年代は ホイットニー・ヒューストンマライア・キャリーセリーヌ・ディオンら歌姫

80年代~90年代さらに2000年代に至るまで マドンナは君臨し続けている

凄いパフォーマンスとメッセージ性、アートな表現で、2010年代を代表する女性アーティストかと思われたレディー・ガガが、つまずき、キワモノっぽいイメージで見られるようになったのは、「Born This Way」がマドンナの「Express Yourself」のパクリと呼ばれたあたりからだろう。セクシャリティへのアプローチやアート性など、マドンナと共通する部分が多く、正当な後継者と思われたガガが失脚したのが、このパクリ問題だと思う。

バーブラ→マドンナ→ガガというのは、ニューヨークのアーティストで、ウーマンリブジェンダーセクシャルマイノリティへのシンパシーなど共通するリベラルな女性アーティストのポジションの印象が強いので、ガガが「マドンナ・ダメージ」から脱出し、トップ・アーティストに返り咲くターニングポイントがバーブラの『スター誕生』のリメイクとは面白いなと思う。ちなみにバーブラアカデミー賞グラミー賞トニー賞という権威ある3つの賞すべてを受賞している。






Spotifyのプレイリストのフォロワーが50を超えました!ありがとうございます!

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Zepp DiverCity、キネマ最響上映『ジミ・ヘンドリックス』

Zepp Divercity Tokyoで行われた、一夜限りのライブハウス上映、伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックスドキュメンタリー映画ジミ・ヘンドリックス』を観てきました。

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http://www.110107.com/s/oto/diary/movie/list?ima=5951

家庭では、絶対に味わえない、ZeppのライヴPAシステムをフルに駆使し、Zeppのライヴ空間をフル活用。

 

 

とのことで、定期的に行われている企画。

今回は名作アルバム『Electric Ladyland』の発売50周年を記念して、東京、大阪一夜限りのスペシャル上映だそうです。


先日ブログに書いた『アリー/スター誕生』、『ボヘミアン・ラプソディ』と、Dolby Atmos上映が続きましたが、映画館の立体音響において音楽がどのように聞こえるか、非常に興味深い体験でした。


今回は、ライブ・ドキュメンタリーを本物のライブ設備で上映という、こちらも非常に興味をそそられ、お台場まで駆けつけました。

ジミ・ヘンドリックスについては、一通りの作品は聴いてますが、深い理解があるわけでもなく、この期に大音量で、ジミ・ヘンドリックスの凄さを体験して、理解したいなという思いもありました。

 

さて、その、最響上映、、、すごかった。。。

音デカイ、

かたまりのような音圧、あれはまさにライブの音ですね。

鼓膜を直撃するドラム、深く分厚いベースにやられました。

そこに乗って叫びまくるジミヘンのギター。

ビビりました。

 

これは、映画とは違う音の作り。

映画はレンジが広く、爆発音から繊細なささやきまで隅々に、きれいな音を目指す音。ライブは、前に音の塊とうねりをぶつける。

設備の違いもあるが、ミックスであり、PAの違いだと思う。

このZeppのイベントは、ただライブハウスで映画を流すだけではなく、

音響が肝になっており、当然、ライブPAがいて迫力のある音を作る。

ライブ同様、客が入って音の鳴りが変われば調整もするだろう。

お客の想いや、会場の空気で違ってくる生き物のようなライブを作ろうとしていると思う。

Dolby Atmos上映や、爆音上映と呼ばれるものとは近いが違う、常にライブを行っているハコが「音楽」や「ロック」で新しいエンタテイメントを目指して上映しているところが、このイベントの意義なんだと思う。

 

この日の上映は、そんな思いを持った主催者、Zepp、そこに集まった人たちのケミストリーによって、ジミ・ヘンドリックスを体感できた(ように思えた)イベントでした。

 

ちょっとジャンルが離れすぎますが、日本のアーティストGReeeeNを御存じですか?

メンバーが歯科医で、ツアーが行えないので、モーションキャプチャー映像を使ったショーを毎年行い、非常に盛り上がっています。

私も何度か参加しましたが、ライブを感じさせる、ライブを考えさせられる表現となっております。

greeeen.co.jp

 

そのGReeeeNを観て思ったのも、音の重要さです。
映像や演出もですが、音で何を伝えるかを追求していたと思います。

私が渋谷のクラブ/ライブハウスで仕事していた時期に感じた事ですが、ダンスミュージック系の打ち込み音、DJがプレイする音源、生楽器や生声によるバンド演奏、どれも違いますよね。
ダンスミュージック系で、DJ活動を行うアーティストが「ライブセット」を行いますが、その機会にしか出せない音を出し、空間を作り上げるという意味で「ライブ」なんだろうと思います。(それだけではありませんが)

 

「ライブ」については、考え方人それぞれですが、私は、いろんなスタイルを「ライブ」として楽しんじゃうタイプです。

 

なので、このZeppでの最響上映、とても合点がいきました。

 

ちなみに、『アリー/スター誕生』のAtmos上映の空間と演奏場面の音響の迫力(かたまり感)は衝撃的でした。


話題の『ボヘミアン・ラプソディ』のAtmos上映では、ライブ・エイドのシーンは、スタジアム空間を残響で作っており、ライブ演奏感よりそちらを重視したような印象でした。

 

 

さて、ジミ・ヘンドリックスについて

恥ずかしながら今回の上映で大変勉強になりました。

 


Jimi Hendrix - Trailer


1970年に亡くなった彼をトリビュート下1973年の映画ですが、彼の音楽と人がいかに愛されていたのか伺えます。

エリック・クラプトンミック・ジャガー、リトル・リチャードなどのアーティストから、家族、恋人など彼の身近にいた人々、これらがコメント出演します。このコメント映像のトーンが明るく、ほほえましい。悲壮感がない。

この上映は『Electric Ladyland』50周年を記念デラックス盤発売に合わせて実施されたものです。

主催者は、数あるジミ・ヘンドリックスの映像がある中で、なぜ、このドキュメンタリー映画が選んだのか。

私が勝手にそう思ってるだけかもしれませんが、この明るい空気のコメントに挟んで、ライブ演奏をライブ大音響で体感するのが、伝説や神格化されてない、生身の、ライブな”ジミ”が感じられるとおもったのではないでしょうか。
逆に言えば、後の時代に作られた作品には、このリラックスした感じではない要素がはいってしまうのではないか、と。

私も、今回の上映を機に、フレッシュな耳でジミ・ヘンドリックスが遺した曲や演奏を楽しんでいきたいと思います。

 

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【アカデミー賞有力候補】レディー・ガガ『アリー/スター誕生』音楽レビュー。(Dolby Atmosで観た)

アメリカでヒット中、注目のレディー・ガガ初主演映画『アリー/スター誕生』をDolby Atmos試写で観たのでレビューします。

映画、そしてサントラも大ヒット。
なぜ、これほどヒットしているのか?
音楽面から探ってみました。

 

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バーブラ・ストライサンドで有名な「スター誕生」のリメイク。
さらに俳優のブラッドリー・クーパーが監督、主演、歌手役で実際歌も歌う、と話題満載。映画祭の先行公開でも大絶賛を受け、アカデミー賞候補と呼び声が上がっている。

先行リード曲「Shallow」も大ヒットし、新たなイメージを纏ったレディー・ガガが世界中の注目を集めていきそうだ。

 


映画『アリー/ スター誕生』日本版予告【HD】12月21日(金)公開

 

wwws.warnerbros.co.jp

 

さて、この作品の秘密を紐解くべく、音楽について注目してみた。
楽曲は発売済み。ストーリーじゃないからネタバレ気にせずレビュー。


『アリー/スター誕生』の音楽 

 



↑映画内での歌唱をレコーディングした楽曲が収められたサントラ

 

レディー・ガガのエキセントリックなイメージを覆すような、生バンドの歌唱、そして「愛」のストーリーと結びついた各曲のテーマ。シンガーとしてのガガの実力と彼女のメッセージの本質を伝える。


ルーカス・ネルソンによるアメリカーナ・サウンドに乗せてブラッドリー・クーパーが歌う


『アリー/スター誕生』の音楽について、一つ目に考えたいのは、ブラッドリー・クーパー演じるスター・アーティスト”ジャクソン”が演奏する音楽。
いわゆるアメリカーナと呼ばれる、カントリーやフォーク、ブルーズといったジャンル。

ガガのイメージからすると、エレクトロや80'Sですが、その要素はない。
70年代版の『スター誕生』のロックなイメージを踏まえているような、アーシーな雰囲気だけど、どこか90年代的でもある。

このプロダクションの中心になっているのが、ルーカス・ネルソン。有名なカントリーシンガー、ウィリー・ネルソンの息子。劇中のクーパーのバンドは、このウィリー・ネルソンのバンド。つまり、この作品のアメリカーナ・サウンドの中心は彼と言っていいようだ。



Lukas Nelson & Promise of the Real - Find Yourself (Music Video)

 

このジャクソン(クーパー)が奏でる音は、フォークやカントリー・ロック。しかし、保守的なカントリーやアメリカン・ロックではない。
そこに、オルタナティブな姿勢やサウンドが聴き取れる。ボブ・ディランザ・バンド、ニールヤングなどのイメージが近い。

音楽フェスでパフォーマンスを観たクーパーが、ルーカス・ネルソンにオファーしたそうだ。ニール・ヤングの大ファンらしいクーパー。ニール・ヤングのバックを務めた事もあるネルソンを知っていたのか、クーパーの考えるアメリカンなルーツ・ロックとグランジ/オルタナティヴなテイストに魅かれたのか?
このネルソンとの出会いから、オルタナティブ/グランジのテイストが入ったアメリカーナこそ、クーパーの考える、この映画を支える音楽の柱となったようだ。

 

マーク・ロンソンとクーパー/ネルソンのアメリカーナサウンドが合わさった、渾身の一曲「Shallow」

 

この映画のストーリー上でも重要な役割を果たす、先行シングル曲であり映画のテーマソング「Shallow」。浅瀬(Sharrow)から深い水の底、つまり、お互いを心の深く知り合う関係、人間として結びつこうとする事を歌っている。

このアメリカーナとオルタナティブロック/グランジサウンドに乗せて、メインのメロディはまさにレディー・ガガ節の炸裂。

 


Lady Gaga, Bradley Cooper - Shallow (A Star Is Born)

 

作曲については、レディ・ガガの前作アルバム『Joanne』をプロデュースしたマーク・ロンソンのチームとガガの共作。
演奏は前述のルーカス・ネルソンのバンドが行っている。
このネルソンのバンドと、ガガ、そして世界トップ級のプロデューサーであるマーク・ロンソンとヒット・ソングライターたちによるポップ・チームが合流して完成した1曲。

 


Lady Gaga - Million Reasons


2016年にリリースされたガガの本名をタイトルとした『Joanne』。
”素”のガガを目指したであろう作品。この『Joanne』で目指した方向性が、クーパー/ネルソンと、この映画の企画と出会うことで、より完成した印象がある。

↓マーク・ロンソンと言えばこの曲


Mark Ronson - Uptown Funk ft. Bruno Mars

 そして、この人


Amy Winehouse - Back To Black


 正統実力派シンガーとしてのレディーガガの誕生

 

「Is That Airight?」「Look What I Found」「Always Remember Us This Way」や、感動的なエンディング曲「I'll Never Love Again」は、素顔のレディ・ガガであり、アメリカン・ミュージックの伝統を継承するスタンダードなシンガー・ソングライターとしてのガガである。

 


Lady Gaga, Bradley Cooper - I'll Never Love Again (A Star Is Born)

 

「スター誕生」のリメイクは、76年版で主役を務めたバーブラ・ストライサンドと比較される。彼女はアカデミー賞グラミー賞トニー賞を受賞したアメリカ史上偉大なエンタテイナー。歌、演技、プロデュース、女性としての主張、、。アメリカでのマドンナ以前の女性アーティストのトップはこの人だったのだろう。
これらの曲たちでのパフォーマンスは、ミュージシャンとして、偉大なバーブラと比較される土俵に乗り、見事に本物であることを証明している。
これらの生音のポップス曲は、レディー・ガガが正統派のシンガー、プロデュースの力量を証明したと言える。

↓76年版『スター誕生』のメインテーマ。その名も「Evergreen」


Barbra Streisand - Evergreen (Love Theme from "A Star Is Born")

 

作品後半のストーリーと密接なポップソングは、ガガ・チームが担当した”もう一人のガガ”

 

後半の楽曲は、打ち込みサウンドを中心としたガガ・テイストのポップチューンが並ぶ。そして、一聴するとガガ的に思えるエレクトロ/R&Bテイストなダンスポップ曲も、映画の中の”アリー”を表現したのか、今までのガガと違った繊細さや情緒がある。これらの楽曲はガガであり、もう一人の人格”アリー”として完成されたのだろう。

「Heal Me」「Why Did You Do That?」「Hair Body Face」「Before I Cry」といったポップ・チューンはポップスター感がある。もちろんガガはポップスターの中のポップスターだが、彼女のヒット曲は、エキセントリックさや激しいエモーショナルさが前に出ており、今回のポップ曲は、よりメインストリームなポップスだと感じられる。映画音楽故に、音圧を抑えたダイナミックレンジの広いサウンドになっているのも関係あるかもしれない。

これらのガガが一人で歌う曲には要所に、ヒット作家を起用し共作を行っている。
映画の中でも印象深い曲たちだ。

 

★Always Remember Us This Way

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2016年のグラミー賞ベスト・カントリー曲を受賞したLittle Big Town「Girl Crush」等を提供するカントリーソングのヒットメイカーたちとガガが共作している。
Natalie Hemby ・・・Miranda Lambertなどに提供
Hillary Lindsey・・・Carrie Underwoodに提供した"Jesus, Take the Wheel"でもグラミー受賞している
Lori McKenna・・・  Tim McGrawに"Humble and Kind"を提供

↓2015年を代表するカントリー・ソング


Little Big Town - Girl Crush

 

 

★Heal Me

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2017年には自身の活動でデビューし注目を集めた女性アーティストJulia Michaelsと、作曲パートナーJustin Tranterとガガチームとの共作。
2015年大ヒットしたJustin Bieber『Purpose』に収録されている「Sorry」他、Selena GomezやHailee Steinfeldなどのポップスターの楽曲で、大ヒットを多数手がけた売れっ子となったチーム。
Justin Tranterは、作家として成功する前に自身のユニットでガガのツアーのオープニングを務めているので、何かきっかけやご縁があったのかもしれない。

 


Justin Bieber - Sorry (PURPOSE : The Movement)


Julia Michaels - Issues


★Why Did You Do That?"

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「Til It Happens to You」で共作した、80年代以降のアメリカを代表するDiane Warrenとの共作。この「Til It Happens to You」は、レイプ被害を扱った映画『ハンティング・グラウンド』の主題歌としてアカデミー賞にノミネート。授賞式で、レイプ被害者男女50名と共演、自らもレイプ被害を受けたことをカミングアウトし話題となった。

Diane Warrenは、Starship「Nothing's gonna stop us now」や、Aerosmith「I Don't Want to Miss a Thing」など、9曲の映画主題歌でアカデミー賞ノミネートされている。

 


Lady Gaga 2016 Till It Happens To You Oscar Performance 1

 

 


これらのアメリカーナ系やヒットポップス系作家やシンガーソングライター、そして、『Joanne』や『ARTPOP』などで組んだ気心知れたクリエイターによって、新しいガガの楽曲が生み出されている。
彼ら共作者について調べていくと、ガガが一つ一つの場面やストーリー展開の中で、楽曲で深みを与えている事が透けて見えてくる。

サントラ後半は、『ARTPOP』等と同じクリエイターたちと制作されているが、より洗練されたガガ的な“煽り”がない仕上がり。映画内のキャラクターを演じる事によって、エキセントリックな印象から逃れて、正統派のシンガー像を作り上げている。

 

 

 

Spoitfyプレイリストでまとめました

この記事内で紹介したルーカス・ネルソンやマーク・ロンソン、ジュリア・マイケルズ他のクリエイター作品や、これらの楽曲に繋がる関連楽曲と『アリー/スター誕生』のサントラをミックスしたプレイリストを作ってみたので、ぜひチェックしてみてほしい。

 

 

 

 

Dolby Atmosで体感する迫力のライブシーン

 

この作品は、立体音響作品としても強い印象を受けました。
IMAXや3D、4K、VR、ARなど、映像分野でテクノロジーが注目され、普及するが、「音」に関するイノベーションはまだまだ。
逆に伸びしろ、これから進化出来る分野でもあり、私もTECHS(https://techs.media/)のイベント活動やアーティスト・プロデュースでも、楽器や音響の進化にトライしています。KISSonix 3D,MI7


そんな中、出会った、この映画のDolby Atmosを使った音響は相当のインパクトでした。


A Star Is Born - LA Premiere Red Carpet | Dolby Cinema | Dolby


ライブシーンでの迫力、特にライブでの、主演二人の歌、ステージ上での会話、各楽器の音や客席側からの歓声が立体的で、まるで自分がステージ上にいるよう。
普通に配信された音源を聴いて確認しましたところ、繊細な歌や楽器の音質もすばらしいですが、劇場でのAtomosでの臨場感、迫力には驚きました。

今までAtomosで観た映画、アクション映画、SF映画もたしかにすごい迫力でしたが、さほど驚きを感じれませんでした。Atmosでなくてもこういったジャンルの映画の音響は十分に迫力があるのかもしれません。

しかし、今回の『アリー/スター誕生』は、これまで見た映画とは違う、音楽映画におけるAtmos、立体音響の本気の作品表現になっています。
次のシーンへと移り変わっていくのが惜しいぐらい、ずっと聴いていたいと思うほど刺激的な音楽体験。ぜひとも、Atmosの劇場でご自分の耳で体験して頂きたいです。

 

 

 

最後に、、

ここまで読んで頂きありがとうございました。
公開したらもう一度観て、また映画そのものについてレビューしてみたいと思っています。
プリンスの『パープルレイン』やホイットニー・ヒューストンの『ボディガード』のようなアーティストが主役を演じるヒット作、近年ヒットしているミュージカル的な映画『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト。ショーマン』などと並べてみるのもおもしろいでしょう。または、70年代テイストの女性映画の流れとして見ても面白いと感じています。

 

 最後に偉大なエンタテイナー、レディ・ガガスーパーボウルでの伝説のパフォーマンスも貼っておきましょう。

人の人生を変えるほどのパワーを持ったエンタテイメントです。


Lady Gaga - Pepsi Zero Sugar Super Bowl LI Halftime Show

 

 

 

Bonus Track:
「アーティストLADY GAGAはどのように登場したか?」

1986年生まれ。Stefani Joanne Angelina Germanottaは、19歳の時に“LADY GAGA”の名付け親であるプロデューサーRob Fusariと楽曲を制作し、各レコード会社に売り込む。デフ・ジャムと契約するも、リリース無く終了。ニューヨーク市の近郊のクラブでダンサーをしながら生計を立てた。GAGAのスタイル確立に多くのインスピレーションを与えたLady Starlightと共に多くのパフォーマンスを行った。
2007年、Fusariが友人であるインタースコープ・レコードのヴィンセント・ハーバートに、GAGAを紹介、ソングライター契約を結ぶ。同レーベルに所属するファーギーブリトニー・スピアーズ、プッシーキャット・ドールズ、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック、エイコンといった有名アーティストに楽曲を提供した。制作者として活動を続けていたときにエイコンがガガに歌手としての才能もあると認め、インタースコープ・ゲフィンA&MInterscope Geffen A&M代表ジミーアイヴォンJimmy Iovineに自身のレーベルコンライブとアーティスト契約を締結したいと伝え、契約が決定。

エイコンはガガについて、「類稀な存在」「ダイアモンドの原石」と表現している。
インタースコープのヴィンセント・ハーバートはイヴやネリーなどを手掛けるトロイ・カーターにマネージメントを依頼する。ソーシャルやデジタルテクノロジーに強いカーターの参加により強力なチームが完成した。

2008年ロスアンゼルスに、移動し、デビュー・アルバムの制作を音楽プロデューサーレッドワンと共に行う。1年ほどスタジオに籠って楽曲を制作。また、アンディ・ウォーホールをモデルとした彼女自身のクリエイティブ・チームHaus of GAGAを結成。

2008年8月19日デビューアルバム『The Fame』がリリースされ大ヒットを記録。次々とヒットを生み出している。

プロモーション

私がマネジメントしているH!dE(ヒデ)のベストアルバム『うたものがたりコレクション』が発売されて、10日以上が過ぎました。

 

wakita.hateblo.jp

 

前回の記事で、制作の事などについて書いたので、今日はプロモーションについて書きます。

私は、音楽ビジネス/アーティスト・マネジメントの「3つの現場」として、

・音源制作

・ライブ

・宣伝

を挙げています。

 

すなわち「いい曲を作り、いい演奏をし、それを広める」です。

シンプル・イズ・ベスト、基本はこれだと思っています。

これによって、アーティストが「ブレイク」、曲が「ヒット」すると、

色んなモノが売れる(4つの商材:音源、チケット、グッズ、FC)


、、、もしかして、あたり前のこと書いてます?(笑)

 

 

今日のテーマは「宣伝」

今回、レコード会社の方で宣伝動いて下さり、TV、ラジオ、雑誌、ネットでのインタビューなどで露出いただきました。

 

その中で一つ、印象深いインタビューがありましたので書いておこうと思います。どのインタビューも、さすがプロと思わせる、音楽の良さを文章で伝える事において誠実な姿勢を感じられて、アーティストも大きな刺激をもらえるなと感心したのですが、こちらのブログを読んでくださる方に伝えたいと思ったのは、以下のインタビューでの一コマです。

utaten.com

 

このインタビューの中での以下の部分、、

「負けんな!」という、H!dE得意の応援ソングについての箇所

 

──ご自身が挫折した事にとって、これを頑張れたらこうなったみたいな所はありますか?

H!dE:『負けんな!』のAメロとかには自分のストーリーを頑張っているみんなと重ねて書いている所があるんですが、どんだけ頑張っても結果が出ない事って誰しもあると思うんです。今でも周りを気にしてしまったり負けそうになったりもしましたが、その時にそれで諦めるかどうかは自分次第。僕は夢が叶わなくても、諦めない選択をしてほしいなって思ったりもしていて。頑張らないといけないって訳ではないですけど、自分らしく一歩ずつ進んでいってほしいと思って書いたんです。叶わなくてもその時に後悔しないっていう選択が大事だと思うし、前を見ていた方が絶対にプラスにはなるはずです。みんなにはそっちの方に進んでいって欲しいです。

──元々ポジティブな性格なんですか?

H!dE:いや元々凄いネガティブです。ちょっと笑い声が聞こえたら自分が笑われてる?って思うぐらい(笑)でも負けず嫌いっていう矛盾があったんですけど、無理やり前向きに前向きにというのは言い続けてきましたね。自分が嫌いな時もありましたけど、そういった経験を踏まえた僕だからこそ書ける曲が、この楽曲に反映されていたら嬉しいです。実は僕も専門のスクールに入るまでに、2年近くかかったんですよ。やりたいなって思っているだけで、何も動けないという経験もあったので、同じような想いを抱えている方に少しでも早く進んでもらえたらなと思います。

 

 

この「負けんな」についてのやり取りは、非常に深いメッセージが隠されてると思います。

現場にいた自分は鮮明に覚えているのですが、、完成したインタビューには載っていない、インタビュアーさんとのやり取りがありました。

 

それは、「頑張らなくていいという考え方もありますよね?それについてはどう思いますか?」といった質問だったと思います。

「頑張る事」「負けない事」「前に進むこと」こういったポジティブさが、ストレートに肯定できないという意見を持った人についてどう思うか、、という現代的な問いです。

鋭い問いですね。

傷ついたり、上手くいかない事があるし、「頑張り」に自分が潰されてしまう事もある、、

H!dEは「夢が叶わなくても、諦めない選択をしてほしいなって思ったりもしていて。頑張らないといけないって訳ではないですけど、自分らしく一歩ずつ進んでいってほしいと思って書いたんです。」と答えています。

 

ここで、いつも笑顔でポジティブなH!dEから意外な話が聞かれます。

実は、周りの笑い声を聞いて自分が笑われてると感じたりする超ネガティブだった事、今も常に負けそうな自分を抱えている事、

音楽を発信する側に立ちたいと思って、2年も動けなかった事、、

周りと自分を比べ落ち込む、そんな自分を嫌う、、

そういった、エピソードが語られました。

 

自分は横で立ち会っていて、このアーティストの本質に迫った質問だな、と思いました。この人が、こういった歌を歌う真の理由、「アーティスト」という立派な名称の役割で人前に立つ資格とは、こういう心の奥から歌う理由と意味を持っている事だと思いました。

そして、宣伝とは、そんな本質を、文章や映像、画像などで伝えるものだと思います。

 

今後も続く、楽曲制作、ライブ、そして、宣伝、、このアーティストに関わる中で、この日のインタビューで語られた事は、ずっと常に私の頭にあると思います。そして、本人や関係スタッフと、この事について真に話す機会があればと願います。

 


レコーディングで、ライブで、宣伝で、あらゆる現場で出会う人とのやり取りが、次の作品を、パフォーマンスを、発信へと繋がれていく。「プロモーション」というタイトルで、YouTubeSNSサブスクリプションなどに一切触れずに、活字メディアについての話になりました。自分の中では、デジタル時代のプロモーションを考える上で、伝統から学ぶところ大きいと思ってる自分との出会いを感じます。とにかく、一つ一つの現場の一瞬一瞬に起こる出来事を、味わっていきたいものです。


<PinkyRingの5年後を描いたプロポーズソング>H!dE「アイコトバ ~Pinky Ringの誓い~」

 

 

 

ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!

ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!

 

 

【CD発売日】

本日は、マネジメント&制作しているシンガーソングライターH!dE(ヒデ)のアルバム『うたものがたりコレクション』の発売日。

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H!dE「アイコトバ ~Pinky Ringの誓い~」Short ver.



H!dEは、こんなアーティストです。

H!dE ヒデ

岡山県倉敷市出身。
映画、ドラマ、小説のような「ものがたり」を優しい声、耳に残るメロディー、飾らない真摯な言葉で紡ぎ、嘘のない「うたものがたり」と呼ぶラブソングとして届け続ける注目のシンガーソングライター。
渋谷で路上ライブを行うミュージシャンたちの姿に刺激を受け、自らも歌う事を決意。音楽活動をスタートさせ、路上ライブやYouTubeで自作曲を発表。
世界的に活躍するイラストアートクリエイターのMineとの出会いにより制作したMV「Pinky Ring」がYouTubeにアップすると再生回数が急増。以後、この「うたものがたり」シリーズのMVは2,000万回以上の再生回数を記録するなど注目を集めた。
これまでに2枚のミニアルバムと16曲のデジタルシングルをリリース。ミニアルバム「うたものがたり2」はオリコンTOP30入りを記録。
ライブ活動も精力的に行い、2017 年は自己最大規模の全国11 箇所ワンマンツアーを成功させた。
シングル「1日遅れのバレンタイン feat. erica」はLINE MUSICリアルタイム1位、デイリー5位を記録した。

2018年初のベストアルバム『うたものがたりコレクション』を5月9日徳間ジャパン・コミュニケーションズより発売決定。
アルバム発売に伴う、全国4カ所のツアーを7月より行う。

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出会ったのは、約1年弱ぐらい前、元担当アーティストからの紹介。後輩アーティストが自分で全て活動を行っているので、力になってほしい、と。仲間の未来を考えて、自分なら、と指名してもらった以上全力でやるしかないですよね。

H!dEは、すでにYouTubeで2000万回以上再生され、全国10か所以上のワンマンツアーを行える規模にいる知る人ぞ知るアーティストです。
イラストビデオと歌詞のものがたりの動画は完成されたスタイルで、沢山の人の心を掴んでいるし、充分成功していると思いましたが、もっと広く多くの人に歌を聴いてほしいという本人の希望を聞いた時、それなら役に立てるんじゃないかと思いました。


H!dEベストアルバム『うたものがたりコレクション』トレイラー


ネットとライブ、まさに今の時代のメインフィールドとされている現場です。ここで成立している作品と、ファンとの関係、、。ここにある本質を見極めて、メジャーフィールドにどうシフトさせていくか。。
ミーティングを重ね、活動サポートから、マネジメント体制へと移行していきつつ、ライブ、楽曲、見せ方、本人とディスカッションを重ねていきながら、アーティスト、H!dEのトータルな中身を進化させる事に二人三脚で取り組みました。

 

昨年の秋、いよいよベスト・アルバム・プロジェクトが始動。

年末、年始のツアー、オフィシャルサイトのリニューアル。
配信シングル「1日遅れのバレンタイン feat.erica」配信リリース
EP「うたものがたり3」の配信

そして、2018年2月24日白金高輪SELENE b2で行ったツアーファイナル/バースデイ・ライブにて、いよいよ『うたものがたりコレクション』の発売を発表。。
この発表をどう行うかについて、ずっと話し合いました。。何か月も前から。

昨年末から、ライブの場で重大発表を行ってきたのですが、リアルタイムで会場にいた方、その日のネットで見た人、アルバムが出た今日、あの瞬間を思い出してもらえると作り手冥利に尽きます。

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H!dEの魅力とは何か、拙著『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』にも書きましたが、私はアーティストの魅力を「音楽性」「パーソナル」「数字」「コンセプト」の4つで考えます。


H!dEの要素

・音楽性
R&B/J-POPベース
ストーリー性のあるラブソング歌詞
言葉の響きを大事にした美しい王道メロディ
独特の声質、歌いまわし

・パーソナル
このジャンルに珍しい泥くさくない、さわやかな見た目
裏表のない誠実で優しい人柄(ミュージシャンらしくない?)

・数字
YouTubeで2000万回再生
精力的なライブツアー(11か所の全国ツアー)

・コンセプト
うたものがたり
大切な人に紹介したいシンガー

こういった4要素、さらにその中にあるディテールをどのように組み合わせて、アーティストの素養とマッチしたアーティスト性を作り上げていくか、それをいかに音源、ライブ、画像、映像、文章など作品化していくか。

H!dE=イラストMV=ものがたりのイメージを、一段高い次元でリアルな人物像として成立させるか。そのコンセプトやスタイルは、時代に求められているか。競合アーティストと明確な違いはあるか。それをそのアーティストがやる理由はあるのか。
この追求こそがマネジメントであると思います。



今の時代にメジャーとは何か?音楽ビジネスとは何か?

発売販売元が徳間ジャパン・コミュニケーションズに決まり、そこから、また担当さんとアルバム内容をディスカッションすることになりました。
担当は旧知のT中さん。優しい人柄、仕事ぶり、H!dEプロジェクトにとって最高の人材だと思いました。この人なら、H!dEの音楽を届けることが出来る。「いい人」には「いい人」(笑)
音楽スタッフにも、音楽性、パーソナル、数字、コンセプトの4要素は近くあてはまるものがあります。関わる「人」がアーティストの魅力と才能を輝かせる大事な要素。
いい作品、いいライブを、いいチームで作る。。

昔のようにメジャーデビューする事が成功への一本道ではないですが、経験を積んだプロの力は音楽を届ける上で重要な役割を持ちます。どんなに大きな会社でも、どんな大きな媒体でも、どんな優秀な人であっても、プロジェクトとの相性や組み合わせは重要な影響があると思います。

今回のアルバムのジャケットでの「顔出し」に象徴される、H!dEそのものを前に出す打ち出しは、徳間ジャパンさん、多くのクリエイティブ・スタッフのセンス、ノウハウ、技術によって完成しています。

1枚の写真でアーティストの音楽性、人間性、コンセプトを伝える。伝わっていたら幸いです。

楽曲
新しいH!dEを伝える為に、音楽面でも挑戦し続けています。
リード曲「アイコトバ ~Pinky Ringの誓い~」は、数多くのアーティストを手掛けてきたプロデューサー、浅田祐介とともに制作した、H!dEのこれからに取り組んだ1曲です。


H!dE「アイコトバ ~Pinky Ringの誓い~」Short ver.


代表曲であり、原点である「Pinky Ring」の世界観を、再構築し、アーティスト性をどう伝えるかに取り組んでいます。人と人が愛し生きていくこと、優しさや思いやり、H!dEの音楽と人間の要素が詰まっています。

作曲、レコーディング、ミックス、マスタリング、、
この曲を核に、アルバムの全ての過程において、H!dEの魅力をどう伝えるか、多くの人がセンス、技術、ノウハウをもって、取り組み、本人H!dEも最大限以上の力で取り組んだ作品です。

 

 

 

H!dEのインタビューなどはこちらにまとまっています。

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※※※


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
まだまだ語りつくせない、H!dE『うたものがたりコレクション』ですが、今日はこのあたりで。

発売日以降、インストアライブツアー、7月にはリリースツアーも決定。
沢山のメディアにも取り上げて頂きました。(徳間宣伝チームの皆さんに感謝)
ヴィレヴァンさんとのコラボグッズの発売、、などなど
沢山の取り組みを行います。

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この記事は、作品を広めたい事はもちろん、音楽ビジネスを志す方、興味のある方に現場を知ってもらいたいと思い書きました。海外では音楽スタッフのインタビューが沢山載っていて、それを読んだ新しい人材が活躍しています。
日本の音楽をもっともっと活性化するために、生の言葉をオンラインに残していく事も取り組んでいきたいと思います。

この記事を書くことに快く了解してくれたH!dEに感謝です。


ティーンスターから”アーティスト”へ、アリアナ・グランデの新曲について

アリアナ・グランデの新曲を聴いています。


まさに、”かわいい”ティーン・セレブ・スターから、世界にメッセージを発信する”アーティスト”アリアナ・グランデの誕生を感じさせる力作です。
このティーンスターからアーティストへのシフトチェンジというのは相当大変な事なのです。

彼女の転機になったのは、昨年のマンチェスターでのライブ会場での爆破テロ、そして、その2週間後、驚異的なスピードで実現、成功させたチャリティ・ライブ・プロジェクト「ONE LOVE MANCHESTER」でしょう。

 


昨年の終わりに、山口哲一さんのブログで、2017年の音楽ビジネス重大ニュースにも入れたのですが、

yamabug.blogspot.jp

昨年5月に、イギリス・マンチェスターでのアリアナのコンサート会場で起こった爆破テロ。コンサート会場でのテロというのは、非常にショックですが、アリアナの客層を考えるとそのインパクトは図り知れません。
十代前半の女性客が無邪気にライブに行って、被害に遭う恐ろしさ。。

 

アリアナとマネージャーのスクーター・ブラウンというマネージャーは、この事件から、2週間後に「ONE LOVE MANCHESTER」という、チャリティ・ライブを実現してしまうわけです。

世界のトップクラスのアーティストを集めて、スタジアムライブを行い、被害者やテロ当日の客を招待し、ネットメディア、既存メディアを使って全世界に発信し、寄付を行う。

テロ直後の厳戒下で、スタジアムライブを行うのはよっぽどの力がないと実現しないですよね。あまりにもリスクが大きい。

このスクーター・ブラウンは、ジャスティン・ビーバーのマネージャーとして、PSYの「江南スタイル」をアメリカのマスメディアでの仕掛人として知られる音楽ビジネスマンですが、彼にとっても一世一代のアクションだったと思います。

担当アーティストの転機に、訪れたターニングポイントで何をすべきか?
時代とシンクロし、アートやエンタテインメント人として、何をすべきか?

ここで、勝負しなければ!と、とてつもないエネルギーが湧きあがった事でしょう。
マネジメントの最大の醍醐味だと思います。


ジャスティン・ビーバーが大人のアーティストに脱皮する過程もまた書きたいです。Diplo,Sklirexx「Where are you now」から「What do you mean」)

「ONE LOVE MANCHESTER」は、まさに音楽ビジネスにおいての重大ニュースでした。


そんな「ONE LOVE MANCHESTER」の一連の動きに相当のインパクトを受けた私は、絶妙のタイミングで来日したアリアナを観に、『デンジャラス・ウーマン』ジャパン・ツアーを観に、はるばる幕張まで行ったのでした。

open.spotify.com


アルバム『デンジャラス・ウーマン』は、ティーンスターとしてブレイクしたアリアナが実力派アーティストに脱皮しようとトライを繰り返している内容。

 

本来のビジュアルは、↓こちら。↑は日本版のビジュアル

open.spotify.com


タイトル、ビジュアル、曲調ずべて、彼女を大人のエンタテイナーへと脱皮させる意図で作られています。なんせ「デンジャラス・ウーマン(危険な女)」ですから。

www.creativeman.co.jp


めちゃめちゃ期待しました。時代とシンクロしたアーティストの誕生の瞬間に立ち会えるのでは、と。が、実際の内容はかっちり作られたショーでした。
ツアーセットに内容は「大人のアリアナ」をアピール内容、というより「かわいいアリアナ」を拒否する内容といった感じで、日本人のアリアナ女子たちや若いパリピたちにとって、盛り上がりにくい内容で、少しかわいそうでした。
もちろん内容は、歌も演奏も素晴らしいショーでした。

この公演で私が観たかったのは、「ONE LOVE MANCHESTER」を経て、いかに、アリアナが、ティーンスターから”真のアーティスト”へと変貌を遂げているか、でしたが、契約した多くのスタッフが関わる大規模のツアーですから、『ONE LOVE MANCHESTER』の影響は具体的な演出やセット、MCなどから感じられませんでした。

その後、映画『美女と野獣』の主題歌を歌ったり、もありつつ。

遂に、新曲登場!

『ONE LOVE MANCHESTER』以降の、世界的なアーティストとしての新しい表現の本格的なスタートは、今回の「No tears left to cry」からがスタートなのでしょう。

この曲も、この後続く作品も、

音源、歌詞、歌唱、ジャケットビジュアル、MV、、


すべてに現れる”意図”、それをいかに形にするか、アリアナというアーティストのパワーと、マネジメントや関係スタッフの手腕を楽しく見させて頂きたいと思います。



youtu.be

 

★告知★

新しい音楽ビジネスを担う”ニューミドルマン”を育成する「ニューミドルマン養成講座」のMeetupイベントを開催します。
月一回集まり、ニューミドルマンコミュニティの交流を行います。
今回、岡崎体育で話題になった、新しい形のファンクラブについて、運営会社SKIYAKIの方をお招きし話を聞きます。

参加申し込みは以下より

newmiddleman-meetup-01.peatix.com
★ニューミドルマン養成講座2018年春期
ブロックチェーン×エンタテインメント入門」
今、知っておきたい「ブロックチェーン」音楽やエンタメへの影響は?

tcpl.jp

 

 

ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!

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週末?音楽起業のススメ

ニューミドルマン養成講座2018年冬期「超実践マネジメント講座」が終わり(2月に)

 

気づいたら3月も終わり。。

 

講座に参加頂いた皆さんから、沢山刺激を頂き、思った事を書いておきたいと思います!

 

・まず、音楽好きな人が集まるのは楽しい。

・いろんな方がいい音楽を広める、売っていく事に興味がある。

・しかし、その方法を知らない。知る手段はほとんどない。

 

ということです。

 

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で、思いました。

 

今の時代、ミュージシャンも、スタッフも、デジタル技術の進化によって、
誰でも、音源を発信したり、宣伝したりすることが可能です。

 

なので、いろんな人がどんどん、音楽ビジネスに参入すればいいと思います。

 

気に入ったミュージシャンがいたら、YouTubeに動画をアップしたり、Tunecoreを使って全世界に配信したりできます。

 

敷居が高そうなイメージがありますが、

まずはやってみるといいと思います。

 

一度やってみると知りたくなりますし、勉強したくなります。

そうなった時、音楽業界が長年培ってきたノウハウや伝統も、

そうなってはじめて生きて来るとも言えます。

 

スポーツや習い事でもそうでしょう。

 

始めてみる、上手くなりたい、勝ちたい、知る、練習する。

 

音楽ビジネスも、同じようにしてみてはどうでしょう。


「趣味」と言っては聞こえは悪いかもしれませんが、

学生さんや会社勤めの方などが、オフの時間を使って音楽ビジネスを行う、、。

 

といった事はどうでしょう?

 

ライブの物販の手伝いやSNSの更新からはじめて、

クラウドファンディングを立ち上げ、レコーディングを企画する。

それを配信し、売っていく。。

 

その中で、学び、知識を得て、より高度なマネジメントやプロデュースを行っていく。

そういった音楽ビジネススキルが上がり、その人のマネジメントスキルや趣向に合ったアーティストとの出会いにより、何かが起こる。。

 

私は、そんな人たちが日本中に現れ、増え、知識やノウハウ、繋がりを求めて、

出会ったとしたら、知っていること全てを教えてあげたいと思います。

 

 

『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』が発売になり、
本を読んでくださった人々と出会うようになり、NMM講座でそんな方々とお話して思ったことです。

 

昨日、ラジオ番組の収録があり、

最後にこれからのミュージシャンに伝えたい事はありますか?と聞かれました。

 

思わず、「私の本を読んでください」と答えてしまいました(笑)

気の利かない不慣れなトークに落ち込んだのですが、

 

案外、本音かもしれません。

 

 

これを読んだ皆さんも「週末音楽起業」どうですか?

 

週末音楽ビジネスZ。。。みたいな。。

 

 

あ、告知させてください。

 

◆4月1日イベント開催いたします!

ニューミドルマンデイVol.3
「音楽未来予測」~テクノロジー革命が音楽ビジネスに与えるもの~

私も少しお話させて頂きますのでー

 

 

◆ニューミドルマン養成講座から電子書籍2タイトル配信開始!

「バリューギャップ」「ナイトエンタテインメント」など、今ホットな話題について、当事者からの貴重な話を収録。

「日本人のためのグローバル著作権ビジネス講座 今、世界で起きている著作権バトルと成功のための未来予測」
(山崎卓也、山口哲一)

「クラブカルチャーの未来と風営法改正 法改正から生まれた夜の価値」
(齋藤 貴弘、山口 哲一)

◆販売ストア◆
Kindleストア(Amazon):http://amzn.to/2FXiZsT
※他、iBooksGoogleプレイ ブックス、紀伊国屋WEBストア等、約50ストアにて配信

http://www.dreamnews.jp/press/0000170756/

音楽を売っていくには、日々、すごいスピードで変化する「仕組み」を知ることが大事。ぜひ一読ください!

 

 

ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!

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