7月からスタートした音楽デジマ講座「音楽マーケティングブートキャンプ」は10月31日に大成功に終わりました。約15名の講師、12組のアーティスト、30名の受講生が日本の音楽ビジネスを進化させるために一つになった4か月間。
10月31日に行われた最終発表会(音楽デジマ・コンペティション)は、12組のアーティストのマーケティング実戦チームが成果発表を行いました。
以下3名のゲスト審査員の投票集計によって、グランプリを決定。
鈴木貴歩(ParadeAll Inc./エンターテックコンサルタント)
ジェイ・コウガミ(デジタル音楽ジャーナリスト/All Digital Music)
伊東宏晃(元エイベックス・マネジメント社長)
優勝チームは、MaekeZineにインタビュー掲載。
近日公開予定。
この記事では、第1期に行った、一線で活動するアーティストと共に行ったマーケティング実戦から感じた最新の音楽ビジネスで起こっていることを書きます。
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実戦!実践!
この講座の大きな特徴である実戦を、学習→実戦→共有で行いました。
実戦開始にあたり、各デジマチームには、「データ収集・分析」「プラン・企画」「コンテンツ制作・発信」の3つの役割をチーム内でフォーメーションするよう伝えました。
いわゆる一般企業などで行っているマーケティングとは違うかもしれません。
多様なジャンル、活動を行うアーティストに取り組み、共通する課題や成果を講座全体で共有できるよう、実戦の大枠を、以下のようなイメージです。当然、音楽マーケティング経験者は殆どいないので、どこから手を付けていくかのガイドといった意味もあります。
★Spotify for artistsとYouTubeチャンネルの整備を「基本」としました。
そして、その次の段階として、プランニング企画。
★「音楽理解」「リスナー理解」が重要なのは言うまでもありません。音楽ビジネスは、アーティストとリスナーいう生き物が「心」で繋がり、その対価として支払いが発生するビジネスです。この両者の理解に基づき、プランしなければいけません。
★そして、コンテンツ制作・発信へ。
「画像」「テキスト」「動画」「音声」この4つを組み合わせて、各プラットフォームに何を発信していくか。
★どんな成果を獲得するか。(いわゆるKPI、KGI設定)
実戦期間は9月、10月の2か月間。毎週、4チームが講座内で報告(期間内に各チーム3回報告)。ゲスト講師も質問やアドバイスしてもらいました。
初見であるアーティストのマーケティングをたった2か月で成果を上げるのは、そもそも難しい。関わった人すべてがいろんな課題と向き合うことになりました。しかし、音楽ビジネスの現場では予測不可能な展開は想定内。音楽デジマの実戦学習としてはやむを得ない。その苦労も全体で共有できたと思います。
講義はもちろん、この実戦報告も盛り上がり、血の通った学習となったと思います。
成果
さて、たった2か月でどれほどの効果が上がったのか。
★Spotifyプレイリスト入り。
いくつかのアーティストで、数10万レベルのプレイリストに。
★Spotify、YouTubeでのフォロワー増、再生数増など設定したKGIをクリア。
★メジャーアーティストの業界ブランディング
★TikTok、YouTube shorts、Instagram Reelsなどショート動画投稿での効果
★各種データ取得、分析データ
このまま、半年1年と続ければ、大きな成果(ヒット、ブレイク)に届きそうな実感を得られました。
※近日、第1期優勝チームからの報告機会をイベント予定。
いくつか、私の感じたことを書いておきます。
■ショート動画の時代
2019年あたりから、TikTokが音楽プロモーションにとって重要ツールとなりました。
YouTube shortsやInstagramのReel、Storiesも含め、縦型ショート動画は、打ち続けるべき。バズが起これば幸いですが、バズがなかったとしても、コンスタントな投稿が好影響に結び付くのは間違いないと思います。
従来の「SNSプロモーション」という発想からすると、TwitterやInstagramはアーティスト本人が投稿することになりますが、主戦場がこのショート動画に移った現在、考えを変えるべきだと思いました。
ツイートや写真投稿はこれまで通り本人がリアルに感じたことを投稿すべきですが、ショート動画は、マーケティング的なプロが活躍する現場です。これが同じアカウントやチャンネルであることが越えなければいけない障壁だと思いました。
YouTubeについては、フル動画、ショート動画、コミュニテイィ投稿やコメント、いいね!といった、メディアであり、UGMであり、SNSであり、そこを個人ユーザー単位でかんがえ、設計されている気がします。何でこうなっているのか理解しがたい部分もありますが、中国ITに詳しい人の話聞くと、あっちで実現しているようで、何となく理解できます。このあたりは要学習ですね。
■TikTokやYouTubeのネットバズは常に玉を打ち続けないと熱が下がる。
昨年、多くのフレッシュ・アーティストが、TikTokなどUGM、やYouTubeでバズり、オリジナル曲を配信しヒットしました。業界も注目しましたが、今年になって、それほど盛り上がりを見ない、またはそれが普通になってしまい、騒がれなくなったのか。。
こういったバズによって陽の目を見たアーティストは、私たちビジネスサイドがしっかりデジマサポートしないといけないと感じます。若い客層は熱しやすく冷めやすく、いろんな娯楽が氾濫していて目移りしやすいです。玉を打ち続けて火を燃やし続けていく事が大事でしょう。
バズったら、次目指すところはここ。
その次はここ
もはやグッズとなったCDやライブDVDはマネタイズの指標
■段階としては、、
ネットバズ
↓
チャンネル・アカウント運用
↓
マネタイズ・ファンビジネス
という階段を上がっていくイメージです。
これを受講生や音楽ビジネスを志す皆さんに体験してもらいたいと思っています。
ちなみに20世紀の音楽ビジネスは、
ライブハウスでワンマンやオーディション
↓
メジャーデビュー&事務所所属
↓
タイアップやメディア露出、CDメガヒットでマネタイズ
といったところでしょうか。
講師で来て頂いたYOASOBIチームの屋代さん、山本さん、cinnamons、evening cinema事務所/レーベルの薮井さん、柚木さんは、2021年常に新曲リリースを続け、その上にライブやタイアップなど重ね、アーティストが上昇していくイメージを世の中にしっかり見せています。
音楽ビジネスは「個人の時代」「個へのパワーシフト」が起こっています。
これは、アーティストが自分ですべてやる時代という意味ではなく、アーティストという「個」、マネジメントという「個」、マーケターという「個」、、いろんな「個」が繋がって仕事していく時代だと思います。
ニッチやコア
ジャンルのファンが多くいる、ジャンルとして盛り上がっているアーティストの場合は着実な数字が見込めると感じます。従来の音楽ビジネスにおいてはレコード会社のプライオリティ(優先順位)で埋もれていたニッチやコアなジャンルにとってはいい時代だと改めて感じました。
次のステージ「マネタイズ」
第1期のマーケ実戦では、「マネタイズ」は運営として要求しませんでした。
音楽ビジネスは、作品や楽曲の「ヒット」、アーティストが人気者になる「ブレイク」が生まれないと、いくら商品を作っても売れません。
今回はあえて、ライブ動員やグッズ販売、ファンクラブ誘導などは実戦に加えませんでした。受講生にはプロのマーケターや一般企業に勤める方も多数おり、この「マネタイズ」を実践に入れれば、数値での成果はより可視化されたでしょう。
しかし、音楽ビジネスの本質であり、醍醐味は、「人の心が動く」「音楽が売れる、人が売れる」ことだと思います。この核に触れてもらいたいという思いから、実際にガチで活動しているアーティストと接し、楽曲を広める実戦に取り組んでもらいました。
マネタイズは、講座が修了した皆さんとは、音楽マーケティング・ラボでご一緒していきたいと思っています!
引いた視点で見たとき、業界全体で海外マネタイズを実現する仕組みも作っていきたいですね!
音楽マーケティング・ラボ(MML)
講座を修了した受講生は、「音楽マーケティング・ラボ」に参加してもらい、実戦学習を経て、「ビジネス」に参加してもらうとともに、継続した学習と、キャリアサポートを行います。第2期の講座ともリンクし、この講座に関わる人すべてに価値が共有される仕組みを作っていこうと考えております。
アーティストやレーベルの方、異業種の方でも、デジマ業務やキャンペーン施策などご一緒していければと思います。DMお待ちしております。
常に変化するデジタル音楽ビジネスの最新情報をアップデートしながら、学び、実践し、繋がる、そんな集団でありたいと思います。
最終発表会の記念撮影
優勝チームと私
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
■好評の音楽デジタルマーケティング講座、第2期募集中!
音楽業界で働きたい方、いい音楽を広めたい方、ぜひチェックしてみてください!!
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■ニューミドルマン・コミュニテイのイベントも!
【コミュメンバー限定】NMM勉強会&Meetup #02 テーマ:音楽原盤出版ビジネスの民主化
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☆脇田敬☆
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脇田敬 - YouTube
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著書『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』,
ポッドキャストも始めました。