『ザ・ビートルズ:Get Back』(Disney+)から「アーティスト・ファースト」時代の音楽ビジネスを学ぶ!

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disneyplus.disney.co.jp

 

11月25日より、Disney+で公開されたドキュメンタリー『ザ・ビートルズGet Back』は、音楽ビジネス現場を、映像体験する最強の教材!!

ザ・ビートルズが解散に至る時期のアルバム&映画用のセッションの過程を撮った1970年公開のドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』のための約60時間の映像と約150時間の音声素材を再編集して、2時間×3本のシリーズにまとめたもの。
彼らの最後のアルバム『レット・イット・ビー』と最後のライブであるアップル本社屋上での演奏は有名。劇場公開映画ではなく、Disney+のようなチャンネル用に公開されることで、約1か月にわたるプロジェクトの制作過程に参加しているような気分でじっくり見れる「体験型ドキュメンタリー」になっています。

冒頭にテロップがあり「本作の制作陣は出来事や関わった人物を正確に描くことを常に心掛けた」と書かれる。

淡々としていて、ドラマ性に欠けるように感じる箇所もあると思うが、このゆっくりとした時間の流れが、まるで、ザ・ビートルズのプロジェクトの一員になった気分を味わえる理由だろう。

 

セルフ・マネジメント、セルフ・プロデュース!
アーティスト・ファースト時代を50年前に実現。

ビートルズの後期は、1967年にマネージャーのブライアン・エプスタインが亡くなり、セルフマネジメント。また、このプロジェクトは、映像スタジオでのセッションと、自社スタジオでのレコーディングで、プロデューサーのジョージ・マーティンもサポート程度の事実上のセルフ・マネジメント&セルフ・プロデュース。

メンバーそれぞれが個のアーティストとして確立した上で、あえて「ロックバンド」に戻り(Get Back)、作品を作る。さらにその過程をドキュメンタリー映像にするというコンセプト。

普通に考えればハイリスクで無茶なアイディアだと思うが、当時のビートルズと言えば、誰もやってないことを次々と行うクリエイティブな実験精神で、全世界の若者をリードしていたわけで、挑戦しなけりゃ意味がないぐらいの意識だったんでしょう。

 

相次ぐトラブルに、強制力のないスタッフも苦心

誰も4人をコントロールできない状況の中、困難な実験的な挑戦を行っているので、いろんな問題も噴出。民主的に話し合い、メンバー全員が納得しないと進まない。巨大なスーパースターとなった彼らに関わるスタッフも大変。メンバーにかかるプレッシャーもさぞすごいだろう。

 

民主的決定、お互いを尊重する偉大なビートルズの等身大の姿

しかし、メンバーは感情的になることも少なく冷静でそれぞれのマイペースを尊重、常にユーモアを忘れない。最大の危機となっただろう、ジョージ・ハリスンの「脱退」を乗り切って、プロジェクトが動き出し、活き活きとした表情と演奏が見られ、期待するような「史上最高のロックバンド」の姿が堪能できます。

 

名曲の数々も素晴らしいが、クリエイトするための生みの苦しみにくぎ付け
この映画は、前半の、挑戦し、生みの苦しみにもがく姿こそ見どころ。

メンバーの関係が悪化し、重苦しい空気の中レコーディングし、屋上ライブを行ったという事ではなく、お互いを尊重し、時にぶつかりながら、ピュアな姿勢とヴァイブスのようなものを大事にバンドとしての音楽制作に取り組む姿をできるだけ脚色なく、素に近い姿で見せようとする作品なので、クリエイティブなプロセスに興味のある人にはとても参考になるでしょうし、音楽が生まれていく過程を収めた映像としても非常に貴重だと感じました。

また、雇い主であるアーティストの意向を尊重しながらもなんとかプロジェクトを進めようとするスタッフの姿も、50年後の2020年代、「アーティスト・ファースト」時代の音楽ビジネスの参考になるでしょう。

 

音楽ビジネス最高の教材ドキュメンタリー名作といえば、メタリカ『真実の瞬間』

もう一つ、音楽ビジネスを学ぶ上で、最高のドキュメンタリーを紹介させてください。

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トレイラー映像(字幕なし)

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2004年の名作ドキュメンタリー『メタリカ 真実の瞬間』に、10年後の振り返り新作を加えて、NetFlixで公開されています。私はこの映画を音楽ビジネスの授業で教材として何年も使い続けています。

 

『レット・イット・ビー』の影響、『ザ・ビートルズ:Get Back』への影響
『レット・イット・ビー』プロジェクトに近い手法だと思うのですが、ユニークな点は、チームにサイコロジスト(心理カウンセラー)が入ってる事です。メタリカビートルズのように、ほぼセルフ・マネジメント、セルフ・プロデュースですが、メンバー間の感情をコントロールする手段を、専門家を雇ってサポートを受けながら学んでいこうとしています。

ファンから賛否両論の作品ですが、映像作品としての評価はものすごく高く、いわゆるリアル・ショーやフェイクドキュメンタリーのブームの原典ともなっている名作です。

最近、2014年版も合わせてみたのですが、メンバーがこの作品を自分たちの誇らしい歴史であり、成長と挑戦の記録として考えていることが感じられ、10年を経てどう考えたかを観れることも非常に興味深いです。

 

スーパースターが直面する虚像とリアル

「メタルバンドが、子育てしてもいいじゃないか」「これが本当の姿」だとさらけ出すことで、虚像と生活の間で苦しむアーティストの姿を伝えたことは、ネット時代を先どっていたと思います。

今回、公開された『ザ・ビートルズ:Get Back』は、『レット・イット・ビー』のコンセプトに影響された『真実の瞬間』がさらに踏み込んで切りひらいた「アーティストも人間、スタッフも人間」という事実を、伝説のビートルズを題材で行うことで、今の時代だからこそ学べることが出来る、音楽ビジネス映像になっていると思います。

 

この2作品、じっくりいろんな方と語ってみたいです。興味ある方ご連絡ください♪

読んで下さり、ありがとうございました!

 

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音楽ビジネスに興味のある方、素晴らしい音楽を広めたい方、興味を持って頂けたら幸いです。

 


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☆脇田敬☆

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