【映画】スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』とラテン音楽への注目

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ミュージカル映画の名作『ウエスト・サイド・ストーリー』を
スティーブン・スピルバーグがリメイク。
しかもキャリアの集大成というキャッチをみて、
何故、彼が?今?と気になり、公開初日に観てきました。

 

こちらはYouTubeにアップした感想動画です。



予告映像



かなりの力作、豪華な大作として見ごたえ充分のので、
興味のある方は是非劇場でご覧ください!

 

さて、この映画について音楽ビジネス・トレンドとの関係で考えてみました。

・今の時代エンタメも差別偏見のない姿勢が求められる
・音楽トレンドにおいて、ラテン音楽に注目!
・そして、アジア系である私たちとして何を発信するか?

 


■映画の概要
1957年にブロードウェイ・ミュージカルとして誕生、
1961年映画版が大ヒットし、アカデミー賞11部門を受賞。
その後のエンタメに大きな影響を与えた名作。
スティーブン・スピルバーグがリメイクした話題作。

 

■音楽
レナード・バーンスタイン

クラッシック指揮者として、ヘルベルト・フォン・カラヤンと並ぶ20世紀を代表する人気指揮者なんですが、作曲家としての代表作が「ウエスト・サイド・ストーリー」。
クラッシック(古典)の巨匠の代表作がミュージカル、ここが面白いというか、わかりにくいところです。

クラッシック音楽とは、古典的なスタイルの音楽という意味のClassical Music
という意味です。
バーンスタインは、指揮者としてベートーヴェンとかマーラーとかの交響曲を多く指揮しています。
アメリカという国は歴史が浅く、文化の中心がヨーロッパでしたが、二度の大戦を経て文化の中心はヨーロッパからアメリカに移りました。バーンスタインは新たな世界の文化中心地ニューヨークから登場し、世界のクラッシック界で認められた初のアメリカ人トップ指揮者でした。

バーンスタインがクラッシック指揮者として、世界に名をとどろかせていましたが、彼が作曲した『ウエストサイドストーリー』は、クラッシック音楽なのか?

基本はミュージカル音楽だと思います。しかし、ミュージカル音楽として知られる作品に比べて芸術性が高いです。

ジャズやラテンとオーケストラ編曲のミックスしてますし、不協和音的なアレンジも、ミュージカルなのにシリアスな作品の空気を凄く出していると思います。


ジャズやポップス、ミュージカル音楽のスタイルが強い曲も多いです。ドラムセットも入ってます。ドラムセットはジャズ以降の楽器なので、クラシカルなというのには当てはまらないです。


クラッシック音楽のミックスなのか?クラッシック音楽の入ったミュージカル音楽なのか?この境界を巡っていろんな意見あるでしょう。

なので、バーンスタインの『ウエストサイドストーリー』は
巨匠の芸術作品なのか、サイドビジネスなのか、意見が分かれているんじゃないかなと思いました。

バーンスタインは、この後、クラッシック音楽の巨匠に、
作詞のスティーブン・ソンドハイムはミュージカル界の巨匠に
振付のジェローム・ロビンスはバレエの世界の巨匠に

アメリカ文化の担い手となり活躍するわけです。

『ウエスト・サイド・ストーリー』は、時代の変わり目、革新する時期に、実験的な気質と文化を持つブロードウェイで生まれ、のちに巨匠となる才能たちが、既存のタブーを打ちこわし作り上げた作品だったのでしょう。

その後、それぞれが成熟する時期があり、ジャンルの革新の後安定を迎え、彼らはその旗手となった。

各ジャンルの才能が集まったウエスドサイドストーリーですがこの人たちは再び集まるタイミングはなかったんですね。それぞれの分野の人になりました。


20世紀後半のエンタメビジネスや社会の仕組みも1960年代のように激動することはなく、時代が過ぎました。21世紀に入り、テクノロジーの進化は、世界を大きく変えました。2020年代再び、ジャンルのクロスオーバーが起こり、再構築、再編成されるタイミングだと言えます。スピルバーグとしても、この『ウエストサイドストーリー』を、音楽の、ミュージカルの、映画の古典として位置づけるタイミングは今、そしてそれが出来るのは自分だという、確信を持ったのかなと思いました。作品からも、彼の発言からも、テンションの高まり感じました。

 

ラテン音楽

この『ウエスト・サイド・ストーリー』の音楽面での注目ポイントとして、ラテン系音楽の存在があります。

多様性,SDGs、テクノロジー、新しい価値観を模索する時代。アメリカにおいて、白人、黒人に続く人種であるヒスパニック系の文化に注目が高まっています。

・ラテン各国の伝統音楽から、バッド・バニーやJ・バルヴィンなどラテンポップ、サルサなどプエルトリコ系音楽へ注目は、アメリカ音楽の重要なルーツとして再認識されています。

 


ミュージカル系の役者、作曲家、脚本家のリン=マニュエル・ミランダという人がいます。
最近、彼が作曲した『ミラベルと魔法だらけの家』というDisneyアニメからの
「ブルーノの秘密」Dont talk about brunoが全米NO.1になりました。

『イン・ザ・ハイツ』『ハミルトン』といった彼のミュージカルは、トニー賞の主要部門を多く受賞し、社会現象化しています。これら彼の作品は2020年、21年映像作品化され、Disney+やNetflixなどで観ることが出来ます。

「ブルーノの秘密」の大ヒットは、プエルトリコ系のクリエイターである彼が、ミュージカルの世界から、音楽の分野、ポップカルチャー全体のトップ・クリエイターとして地位を築いたと言えるでしょう。

また、アメリカ音楽ルーツとしてのプエルトリコ系への評価は、Netflixとかで見れるHIPHOPの歴史のドラマなんかでHIPHOP誕生のの歴史にプエルトリカン、ジャマイカンが登場したりすることでも浸透しているのではないでしょうか。



 

■多様性、ダイバーシティ
1950年代~1960年代は黒人の公民権運動が高まった時期でもあります。
BLMやダイバーシティの機運が高まっている現代と通じる時代背景があります。

『ウエスト・サイド・ストーリー』のミュージカルや最初の映画も、そんな時代を背景に作られた作品です。

今回のスピルバーグ版も

・プエルトリカン、ラテンアメリカン、ヒスパニック
女性差別、LGBTQ、セクシャルマイノリティ
についてのメッセージを多く含んでいます。

この点でラテン系に注目した時、もう一つ作品を紹介したいと思います。

『サマー・オブ・ソウル』というウッドストックと同じ時期にニューヨークのハーレムで行われたブラックミュージックのフェスの映画も昨年話題になりました。

ここには、モンゴ・サンタマリアやレイ・バレットといったキューバ系やプエルトリコ系のミュージシャンも取り上げられていますし、リン=マニュエル・ミランダもコメントしていました。



『ハミルトン』もそうですが、人種の多様性についての流れは、ブラック・ライブズ・マターで黒人差別に注目が集まりがちですが、ヒスパニックやアジア系も含んでいます。

 

■映像系サブスク・ストリーミング・サイト

『サマー・オブ・ソウル』私は劇場で見れず、ネットフリックスで見ました。
また、『ハミルトン』や『ミラベルと魔法だらけの家』はDisney+で見ています。

・ネットフリックス→Amazon Prime、Disney+
特にNetflixのオリジナル作品は、これまでのテレビや映画のタブーから自由な映画やドラマ、ドキュメンタリー作品が多いです。スポンサーなどのいろんなしがらみや忖度から自由なのでしょう。この流れが劇場公開映画にも影響与えているんじゃないでしょうか。

私は音楽関係者です。音楽アーティストで社会問題に意識的な人は多いと思いますが、音楽は、フィーリングを伝える力は凄いですが、歴史とかを伝える表現としては映像の方が強いですよね。

 

■まとめ
・差別偏見を超えたメッセージが求められている現代は、1960年代と近く、ステレオタイプの娯楽作ではなく、革新的な表現が多く生み出されている。

・音楽トレンドにおいてもラテン音楽に注目!ポップスやロックのルーツとして、西洋音楽、ブラック・ミュージックはよく語られますが、ラテン音楽の要素は大きく注目されていると言えます。

・そして、私たちの音楽やエンタメ作品もアジア系として、注目を集めています。日本人としての意識もそんなに大きくない中、アジア人としてどう受け取られるかも考えていく必要がありそうです。

 

あと、ミュージカルに詳しい、金井みちこさんともTwitter Spacesで
いろいろ聞いてみましたので、そちらもしばらくは録音が公開されていますので
こちらも、ぜひ。

twitter.com

 

 

 

以下、告知です。

 

ニューミドルマンコミュニティの勉強会です。
SXSWやMIDEMなど、最新の音楽ビジネスやITテクノロジーサービスを紹介するイベントの役割や可能性について考えます。

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https://nmmmeetup0324.peatix.com/

会員限定ですが、毎月1000円で著名ゲストの話が聞けるイベントやこういった勉強会に参加できて、つながりが出来たり最新情報得られますので安すぎかと笑

 

興味ある方ぜひ。

 

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☆脇田敬☆

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