映画『ホイットニー・ヒューストン』は音楽寄りの映像体験


デビューの頃のホイットニーの屈託のない明るさ、モデル容姿の美しさ、圧倒的な歌唱力。まぶしいぐらいの存在でした。その後の悲しい人生を想うと、聴くたび、その明るさゆえに胸を締め付けられます。あの時代を知る音楽ファンにとって、ある種トラウマなのがホイットニーではないでしょうか。

マライヤ・キャリーのように毎年クリスマスになると華やかにリバイバルすることがないのは、そんなつらい過去の様な思い出したくない存在になってしまっているからだと思います。

それほど、デビュー時のホイットニーの天真爛漫な輝きはまぶしかった。

マイケル・ジャクソンのネガティブな記憶のトラウマを『THIS IS IT』が払しょくしたように、『ボヘミアン・ラプソディ』がQUEEENの曲をクラッシックスに持ち上げたように。この映画が、社会的な記憶としての傷を癒し、本来持っていたホイットニーの歌の力を再認識させてくれると嬉しいです。

おそらく、製作側も関係者、出演者もそんな願いを込めているんじゃないでしょうか。

歌唱シーンでは、ホイットニー本人の歌唱音源が使用されていて、冒頭から最後まで、歌をしっかり聴かせてくれます。ゆえに上映時間はやや長い。が、全く気にならないです。

そして、ホイットニーの音楽の魅力が何処から来て、どのように作品やパフォーマンスとなったか、音楽ビジネスのリアルな検証がされ、マニアックにならない程度にさりげなく画面上に記されています。

映画的なリアリティを期待するとがっかりするかもしれません。映画批評的な視点からすると評価が低い気もします。ホイットニーの親のような存在である大プロデューサーのクライブ・デイヴィスもこの映画のプロデュースに参加していて、都合のいい描き方しかしていないと思う人もいるかもしれません。しかし、音楽的な描写について、かなり追求されていると思います。日本語字幕監修を松尾潔さんが手掛けている事も、この映画の意図の表れだと思います。

(※ナラダ・マイケル・ウォルデンの扱いが小さいのは何故?)

 

レコード会社に30年以上勤務された業界の先輩であるKASHIMIさんと、この映画について語りました。
ホイットニーの魅力、そして、1980年代の業界背景についても話せたことはとても有り難かったです。興味ある方是非観てください。


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ホイットニー・ヒューストンから1曲お勧めするとしたら。


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「グレイテスト・ラブ・オブ・オール」(愛は偉大なもの)を、挙げたいと思います。ホイットニーのカバーで有名になった曲として「I will always love you」など有名すぎるぐらい有名ですが、この曲もカバーで。真のヒーローとされるモハメド・アリのために作られた曲のカバーであり、歌の力で愛の「清らかさ」「美しさ」「強さ」を表現したアンセムです。名シンガー、シシー・ヒューストンの娘としてエルヴィス、アレサなどアメリカ音楽の正統なエリートとしてのホイットニー・ヒューストンを象徴する曲だと思います。

80年代後半中学生だった自分は、キラキラしたアメリカン・ポップ・スターとしてしか認識していなかったと思いますが、何かこの曲に込められたメッセージが感性に影響を与えてくれたと思います。

 

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ホイットニー・ヒューストン』映画批評的な意味で名作じゃないかもしれませんが、音楽体験として最高なのは間違いないと思います。おススメします。

 

 

 

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☆脇田敬☆ 
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著書『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』,

経産省監修『デジタルコンテンツ白書』編集委員

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