ヒット研究と現場経験による地力、ブルーノ・マーズのグラミー賞受賞について

今年のグラミー賞は、ブルーノ・マーズが通案3枚目のアルバム『24K MAGIC』主要部門を独占しました。毎回アルバムがリリースされる度、ユニークなアイデアを取り入れたポップ・ソングが入っていて驚かされます。『24K MAGIC』もトーキング・モジュレーターを使ったオープニングから、のファンク、オールドスクール・ラップやニュージャックスイングに度肝を抜かれました。やり過ぎでは?と勝手に心配になりましたが、無事グラミーを独占し、さらに頂点を極めました。

ちなみに、この人はリリース作品ほぼすべてグラミー受賞しています。

 

なぜ、これほど、一瞬で心をとらえるヒット曲を連発できるのか、

この人は何者だろうと過去に興味を持って調べてみたことあるので、書いておきます。

 

私のブルーノ・マーズの印象は、”研究と現場経験に裏打ちされたポップ職人”です。

 

ハワイ出身、プエルトリコ系とフィリピン系の両親の間に生まれた彼は、「ハワイのエルビス」と呼ばれ、2002年高校を卒業後、成功を目指し、LAに移り住みます。

 

2004年MOTOWNと契約するも、リリースに至らず契約終了。ヤングなポップスターとしてのデビューは実現せず、ブルーノ・マーズとしてのデビューは2010年、LAに出てきてから8年後です。

 

では、デビューまで、彼は何をしていたのでしょう?

 

・作家、プロデューサー、スティーブ・リンジー(おそらく師匠なんでしょう)の会社と作家契約し、ヒット曲の研究

 

・カバーバンドでのライブ活動

 

このカバーバンドが重要です。

後の彼のバンドHooligans(デビューアルバムのタイトルにもなっている)、デビューのきっかけとなったプロデュース・チームThe Smeezingtonsへと繋がっていく。

 

MOTOWNでのデビューが実現せず、そこから5年間、ヒット曲を研究し、生バンドでカバーライブを繰り返すことで、ヒット職人Bruno Marzが完成していくわけです。

(ブルーノのカバー・パフォーマンスは、YOUTUBE上で沢山観ることが出来ます)

 

2009年から、バンドメンバー含むプロデュース・チームThe Smeezingtonsのヒット曲が生まれ始めます。

 

UKでヒットしたSugababesの「Get Sexy

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FIFA World Cup公式ソングとなったK'naanの「Wavin' Flag

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Flo Rida「Right Round」

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そして、これらのヒットにより、かなり注目を集めた、または絶対売れそうなヒット性の高い楽曲が評価されたのか、デビューが決定。

 

プロデュースとフィーチャリング・ヴォーカリストとしても参加した楽曲もリリースされヒット。MVにも大々的に登場してるところを見ると、すでに次世代ブレイクアーティスト的な地位を確立していたのでしょう。

 

アメリカで1位となったB.o.Bの「Nothin' on You」

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トラヴィー・マッコイの「Billionaire」

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この2つのヒット曲の大ヒットからの満を持してのデビュー曲「Just the way you are」の大ヒットへと至るわけです。

 

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その後の活躍はご存知の通りです。

 

ものすごいビッグアーティストですが、どこか地味というか、印象が職人的ですよね?ジャンルとか関係なく、独自の道を歩んでいる。

 

昨年のグラミーのPrinceトリビュートのカバー・パフォーマンス

 

完コピ!

 

衣装やギターまで、Princeそのまま(笑)

やりすぎ!と思いました。

 

 

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どれだけスーパースターとなっても、下積み時代を共にしたメンバーと共に、音楽愛に溢れた、曲とパフォーマンスを生み続ける。

ポリスやデッド・オア・アライブといった80'sや、ニュージャック・スイング、ファンク、オールドスクール・ヒップホップ、レゲエ、、

とジャンル、人種を超えて、いろんな要素を盛り込んでいくスタイルは、リスクもあると思います。

 

プリンスのカバー・パフォーマンスにしても、自分をビッグに見せようという考えが見えないのは、よっぽど自信があるんだろうなと。

プリンスの凄さを理解しているという自信、生バンドとしてのライブ力の自信。

小細工の必要を感じてないんだろうなと。

 

こういった大胆な創作と表現には、長年の研究、バンドでのライブ経験があってこそだと思います。

研究と現場経験はウソつかない。

これからの活動も楽しみです。

エイベックスとの契約で何が始まるのかも楽しみですね。

prtimes.jp

 

 


最後にお気に入りの動画を貼っておきます。

 

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講座を行う理由とサム・スミスの事例

2月1日から、ニューミドルマン養成講座の2018年冬期「超実践アーティストマネジメント篇」がスタートします。http://tcpl.jp/newmiddleman/

2014年より開始し、今回で9期目となります。 

 

今回、私はコーチとして、受講する方にマネジメントの具体的な方法、アーティストを売っていく方法を指導させて頂きます。

というと大げさですね。

要は、幅広い方に、音楽マネジメントについて知ってもらいたいです。

 

昨年9月に発売しました、私の著書『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』は、このニューミドルマン養成講座と連動したNEW MIDDLE MAN BOOKSから発売されています。講座のオーガナイザーの山口哲一さんに監修してもらい、リットーミュージックより発売しました。

 

本を出し、このテーマで講座を行うのは、ノウハウや戦略、考え方を知ってもらい、有望な人材が、ガシガシと音楽ビジネスに関わってほしいからです。

 

音楽業界といえば、よくわからない業界用語で動く、閉じた村社会と思われてます。時代の変化に対応できていないという指摘もあります。事実だと思います。

 

しかし、長年にわたって、音楽愛に溢れた人々が、いいモノを作る為に試行錯誤し、身を削って打ち込み築き上げた創造力やノウハウの蓄積の中に、新しい時代にも通じる真実が沢山含まれていると思っています。

特殊業種である、音楽の仕事の仕方を理解してもらいたい、ネット以降の時代のミュージシャン、スタッフに、活かしてほしいです。

 

いや、このネット時代にこそ、必要とされる知識やノウハウなのかもしれません。

かって、ミュージシャンは、商売のことなど考えないでいいと言われていました。

スタッフは現場で体で覚えろ、と言われていました。

今のミュージシャンは知識を求めています。そして、知識を持ったミュージシャンほど、優秀なスタッフを求めます。

 

今の時代の音楽ビジネスに求められるのは、知識を持ち、考えるミュージシャンと、スキルを持ったスタッフとの強いタッグであり、チームです。

 

リットーミュージックのサイトに掲載されている山口さんのインタビューにも、イギリス人のグラミー受賞シンガー、サム・スミスの事例を紹介しました。

https://www.rittor-music.co.jp/pickup/detail/14168/

 

才能あるアーティストが、有効なスタッフ・ワークを得た時の威力を知ってもらえると思います。

 


Sam Smith - Writing's On The Wall (Live On The Graham Norton Show)

(↑好きな曲)

 

欧米のメディアには、音楽ビジネスに関する、 

なぜ売れたのか?なぜヒットしたのか?

についての、情報が沢山載っています。

 

なぜなら、音楽ビジネスでの成功に繋がる、情報や知識を求め、それを自分たちの成功に活かそうとする人が沢山いるからです。

音楽シーンの活性化のために、それを誰かに伝えようとする人がいるからです。

 

「いいモノは売れる」といった、単純なものではありません。 

 

モノが良くて当然、知識と戦略を学び、考え、実践することです。

そうする人が増える事で、より感動する作品やアーティストが、世に出ると思います。

 

興味のある方は、ぜひ、講座へご参加ください!お待ちしております。

 

 

 

★ニューミドルマン養成講座2018冬期「超実践アーティストマネジメント篇」

tcpl.jp

 

今回、ゲスト講師に

・中井秀範さん(音事協専務理事)

・荒川祐二さん(株式会社NexTone代表取締役COO)

に来て頂き、お話を伺えます。

マネジメントの真髄、そして、YOUTUBE著作権について等、

なかなか聞くことができない話になると思います。

 


★ニューミドルマン・コミュニティ

tcpl.jp

 

 

ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!

ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!

 

 

新年のご挨拶と菅田将暉「一瞬の美」について

明けましておめでとうございます。
2018年を迎え、ブログをはじめました。

どうぞよろしくお願いします。

 

私達、普通の人が休んでるときに働くのが全然フツーではありますが、休み中に仕事の連絡することには多少の遠慮があります。

それ故に、人から連絡があまり来ない年始は、業務に追われず何かを始めるチャンスです。

あれこれ考え始めて、タイミングを逃す前に、始めます(笑)

 


昨年9月、書籍『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!』リットーミュージック)を発売いたしました。

約3年にわたり、制作として関わらせて頂いているニューミドルマン養成講座(東京コンテンツ・プロデューサーズ・ラボ)のオーガナイザーの山口哲一さんが監修して下さり、新しい音楽ビジネスを切り開く、という、講座の目的に沿った本を出版するNEW MIDDLE MAN BOOKSからの発売です。

 

先に出版された、山口さんの『新時代ミュージックビジネス最終講義 新しい地図を手に、音楽とテクノロジーの蜜月時代を生きる! 』という、音楽ビジネスが激変する時代を解説した名著があります。

さらに毎回、最先端の人と情報と出会えるNMM講座も開催されてます。

しかし、そもそも音楽ビジネスって何?、具体的に何をするのかという前提を知らないと大変だと思ったのが、書籍を書く動機となりました。

この『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』は、入門編というか、実践編という位置づけです。

これから音楽業界に就職したい人、異業種から参入したい人、

そして、タイトルにあるように、今の時代は音楽を創り出すミュージシャンにもビジネス・センスが求められています。

そんな本気で音楽で食っていきたい人にとって、知っておきたい実務の情報をまとめたものです。


読んだ人によっては、当たり前じゃないか、と言いたくなる内容も書かれていると思います。

しかし、ある人にとっての当たり前が、誰かにとっては当たり前じゃない時代。
軽く読み飛ばしながらで結構ですので、一読頂ければと思います。


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さて、このブログでは、

 

・この書籍の内容に沿った音楽ビジネスを知ってもらうための記事、

・ニューミドルマン養成講座や新しい音楽ビジネスについての記事

・実際に今、私が関わっているミュージシャンについての記事、

 

など書いていきたいと思っています。

どうぞお付き合いください。

 

 

 

せっかくのブログなので、年始に絡めたことも一つ書いておきますね。

 

昨年末、TVなのか何なのか、で、ある言葉を聞きました。

 

人気俳優の菅田将暉さんの2017年を振り返ったツイートからの言葉です。

引用しますね。

 

2017年仕事納め。年男らしいバタバタしたこの一年は忘れられない年になりました。色んな所へ行き色んな事をしました。沢山表に出ました。それでも僕は来年からも色んな人との出会いを胸に一瞬の美を追求していこうと思います。本当にお疲れ様でした。では、良いお年を。感謝。菅田将暉

菅田将暉 (@sudaofficial) 2017年12月30日

 

 

何気なく耳にしたこのコメントに、強く惹かれました。

 

それは、「一瞬の美を追求」という言葉です。

2017年、この「一瞬の美」こそ重要だと思う事が多くあったからです。

まさに、音楽の仕事とは、エンタテインメントの仕事とは、そんな問いに、この言葉が多くを言い表していると思います。

 

そのように思っていた私も、10月に受けたインタビューで語っていますので引用しますね。

 ↓インタビューのリンクはこちら

getnews.jp

 

”エンタメ業界は、スピーディーで一瞬一瞬が勝負というか、「今」というタイミングを逃すとマジックは失われる、といった感覚があります。”

 

”メジャーデビューすれば、テレビに出れば成功できるとか、そういう時代ではありません。と、同時にネットやSNSを使えば誰でも音楽を広められるといった簡単な話でもありません。メジャーデビューしようが、インディでネットで発信しようが、必要なのは知識と情報であり、瞬間瞬間をいかに輝かせるかという行為の積み重ねだと思います。本の各章にも書いたことなのですが、音源制作、ライブ、宣伝の各現場で、プランニングやスタッフ/関係者との打ち合わせ、メールやLINEの言葉の一つ一つ、写真のアングル、文字の書体、打ち上げでの飲みっぷり等々……曲やライブは良くて当たり前、宣伝して当然、その先で勝つには、日々スキルを磨き、瞬間ごとに全身全霊をかけ続けることなんだと思います。これは、アーティストもスタッフも同じです。”

 

この事を肝に銘じながら、一つ一つ精進していきたいものです。

 

今年も、一瞬の美を追求する機会を沢山頂けますように。

そして、一瞬の美を追求しようとする新しい仲間と沢山出会えますように。

 

本年もどうぞよろしくお願い致します。