『マインドハッキング』~アメリカ大統領選、EU国民投票、、選挙はいかにハックされたか~

こちら衝撃的な一冊、激オススメです。

Facebookから個人情報を集め、イギリスEU離脱国民投票アメリカ大統領選の結果に大きく影響を与えた情報会社、ケンブリッジ・アナリティカについて元社員でありシステム開発者の暴露本。

膨大な個人情報データをもとに、心理学テクニックを駆使し、パーソナルに作られたナラティブのコンテンツを制作、市民の不安や不満、恐怖を煽る選挙戦の実態が知れる。

 本の中で明かされる手口の数々。。
法律やモラルを無視した、ネット上の個人情報や行動データを収集し、特定の政治勢力や企業の利益の手段に使用される恐ろしい時代。ルールが未整備なのをいいことに、何でもあり、やったもん勝ち。モラルを無視する者が勝ち、利益を得る。
今の世の中が、いかに無秩序であるかがよくわかります。

 

さらに、少なからず、我々もこの情報戦に影響されていることに気付かされる。否定すべき意見や情報に対し、どこかで一理ありと感じさせられ、それが現実的だと思ってしまう。つまり私たちの心理がコントロールされているのだ。そして、知らず知らず誰かの利益に加担してしまう事、これが世界規模でまかり通っている。

トランプ政権、ブレグジットロヒンギャ、、金儲けの為に世界を破壊する輩。トランプ大統領も、そこに乗っかている神輿の一人だっただろうと思う。

こういう人間の暗部を狙う動きにブレーキをかける法制度やモラルの確立が必要であることを痛感する。

 

この本で共感できる、好きな部分として、政治とテクノロジーの話に「文化」が重要な役割を果たすと考えているところ。
著者も、音楽やファッションなどの文化から得た価値観を信じ、そこにアイデンティティを求め、モラルの基準とする姿勢に共感する。原題も『Mind F**k』とポップカルチャー感が出ていて、政治やテクノロジーを題材とした堅い本でありながら、マインドがパンクだったり、ゲイカルチャーするところが面白い。

 

さて、この本の衝撃をどう受け止めればいいのだろうか。読んだ自分自身は何をすべきなのか?


この本では、ケンブリッジ・アナリティカの役員であり、「トランプの生みの親」と呼ばれホワイトハウスの首席補佐官まで登りつめたスティーブ・バノンが主要な人物として登場する。彼はルネ・ゲノン、伝統主義思想に昏倒し、現代西欧民主主義を破壊する革命を目指した。このような思想背景から、「反エスタブリッシュメント」「反エリート」の看板の元、破壊的なやったもん勝ちの政治が支持される勝ちパターンの発明へと繋がっていく。文化や思想から生まれた理想をテクノロジーと合体させ、一大勢力を築いた。

ドナルド・トランプは多くのミュージシャンの楽曲を使用した。それらの曲を生み出したアーティストたちの意図とは全く逆と思われる主張を持つトランプによる使用に対して、使用中止するよう求められている。

www.businessinsider.jp

 

なぜ、保守的なカントリー・ソングではなく、自由や反抗をテーマにしたアーティストや曲、が多いのだろうか。ドナルド・トランプに代表される「ポピュリズム」勢力やオルタナ右翼の台頭にはサブカルチャーカウンターカルチャーが利用される傾向が強い。もし、自分が関わっているアーティストの楽曲がこのような使い方されたらどう感じるだろうか?

 

情報テクノロジーが戦いの舞台となった時代に、音楽はどうあるべきか。考えたいと思う。フェイクやヘイトがまかり通る時代に、愛と平和、良識のある進化に少しでも貢献する音楽作品や発信を届けたい。この本は、その為に必要な実態を教えてくれる。


最後まで読んで頂きありがとうございます。
以下、告知になります。

 

音楽ビジネスを進化させる仲間の集うコミュニティ。
ニューミドルマン・コミュニティのイベントです。

次回は、11月13日。
LAを拠点に活動し、グラミーにノミネートされたプロデューサー、アーティストのstarRoさんをゲストに迎えます。こういった、政治・文化と音楽を絡めた話も出来るといいなと思っております。

musictechradar202011.peatix.com

 


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脇田敬

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著書『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』,