Clubhouse/Twitter新機能、TikTok投げ銭など2020年代SNS動向と音楽ビジネスの未来

1月下旬に始まったClubhouseのブーム。それに対抗するTwitterのSpacesなど新機能。各プラットフォームの新しい動きが見え始め、SNSが次の段階に進んだ印象を与える2021年の始まりとなった。

 

2010年代後半、Twitter,Instagram/Facebook,YouTubeの3強(不可欠なツールとして「水道、ガス、電気」と呼んでいる。)の独占が揺るぎないと感じられたが、そこに風穴を開けたのはTikTokだろう。2019年Lil Nas Xの「Old Town Road」のヒットに代表されるTikTok発の音楽ヒットの連発は、止まっていたSNSの流れを大きく動かした。

そして、さらにClubhouseのブレイクも「Withコロナ」の追風を受けたSNS新時代を思わせます。

「音声SNS」「SNSの課金」と、その影響で繋がりとマネタイズが進み、音楽ビジネスがどう変化していくか考えたい。

3月19日に、以下のイベントも行いますので、この記事でも考えてみたいと思います!

musictechradar20210319.peatix.com

 

■Clubhouse の爆発的ブームと音声メディアの普及
Twitter の新機能(課金、ブロック、コミュニティとSpaces)
■インスタライブの複数可能化、課金
TikTok ライブの投げ銭(今後、月額?ライブコマース)

 

日本だけではわからないClubhouseブーム
数年前から有望分野と目されながらなかなか具体が見えてこなかった「音声メディア」。音声SNSのClubhouseが日本で突然流行したことで、この「音声メディア」に一気に注目が集まりました。アーリーアダプター中心の一時的な流行なのか、一般的な普及となるか、これからの動きに注目ですが、一つ思うのは、Clubhouse現象は日本だけでなく、世界各国に広まっており、一過性とは言えない地力を感じます。SNSサービスは全世界を対象に構築されており、日本単体だけで考えると見えてこないことは多いと感じる今日この頃です。

apps.apple.com

 

制限があるからこそ!なClubhouse主な特徴
・招待制
・実名推奨
・テーマを決めたroomでトークする。
・ストレスのない同時トーク
・メッセージやリアクションなど無し
アーカイブ無し
・ルームを立ち上げる(Moderator)
・挙手して発言する(Speaker)
・ラジオのように聞く(Listener)
iOSのみ使用可(2021年3月時点)

トークを通じて人と繋がるという点において、かなりの効果があり、TwitterInstagramと合わさって生まれるシナジーも特筆です。

また、TwitterによるClubhouseの対抗機能として注目の「Spaces」もベータ版で限定運用されており、Clubhouseのブームに留まらない「音声SNS」普及を告げる動きと言えます。Clubhouseと、強力な対抗ツールSpacesが切磋琢磨し、音声SNSが熱い盛り上がりを見せていくのではないでしょうか。

 

代表的なSNSTwitter」も変わる!

大手SNSであるTwitterはシンプルな機能を維持し、これまで目立った変化がそれほど見られませんでした。目立った変化は、ツイートの表示がタイムライン順ではなくなったり、フリート機能ぐらいしか思い当たりません。
そんなTwitterに新しい動きが見え始め、SNSが次の段階に進んだ印象を与える2021年の始まりとなった。

「音声SNS」「SNSの課金」と、その影響で繋がりとマネタイズが進み、音楽ビジネスがどう変化していくか考えたい。

 

twitter.com

 

ClubhouseのライバルTwitter Spaces

主な特徴、Clubhouseとの比較

Twitterのフォローフォロワー同士でトーク
・拍手のようなリアクション可能
トークしながらツイートを表示可能
Androidも使用可能

 

マネタイズ、コミュニケーション、、Twitter新機能

Spacesとは別に、Twitterは3つの新機能の導入を発表しており、こちらとSpacesが組み合わせて考えるとTwitterの今後が見えてきます。

注目の機能は、

・スーパーフォロー・・・月額課金で限定コンテンツなど
・セイフティ・・・不適切ツイートを自動ブロック、非表示にする設定
・コミュニティーズ・・・特定のトピックについて会話できる

 

「140文字でゆるく繋がる」シンプルなアプリといった印象だったTwitterが、奥行きを持ち、ビジネスや学習的な議論、交流など様々な用途に対応していくことになりそうだ。「スーパーフォロー」「スペーシズ」「コミュニティーズ」は、音楽アーティストにとっても注目の機能です。Twitterが、宣伝ツールからライトなファンクラブ的なマネタイズツールへと発展しそう。

 

Instagramも新機能!

ライブルーム機能によって、現在のインスタライブを最大4名まで行える。
Clubhouseが大人数での会話でストレスないコミュニケーションを実現し、Instagramの強みである視覚も加わったチャットにも注目です。

 

https://www.instagram.com/wakita.takashi/?hl=ja

 

2020年代をけん引するTikTok

以前から始まると言われていた、TikTokライブでの投げ銭機能がスタート。
TikTokは中国国内では、ショート動画以外に、ライブ配信投げ銭、月額会員、ライブコマースなど様々なサービスで実装され、大きなビジネスとなっている。
日本において定着を見せたライブ配信(ライバー系)をはじめ、中国での課金やマネタイズ状況を研究しているプラットフォームは多い。
世界のプラットフォームも中国SNSや配信プラットフォームの影響を受けているはず。

TikTokが中国外で新しい機能を実装する時は、すでに中国国内でのユーザーデータの蓄積、アルゴリズムインターフェイスの改善など出来た状態でスタートするという点でかなり強力だと思います。

 

■音楽への影響

SNSの新機能や新しい流れについて書いてきましたが、音楽ビジネスへの影響はどうでしょうか?

どのツールが良いか?という視点と合わせて、どう組み合わせるか?も大切でしょう?ClubhouseとTwitterの連携、TikTokからYouTubeフォローへ誘導する、、など。


Clubhouse ・・・ミュージシャンや関係者、リスナーの”出会い”
Twitter ・・・ファン・エンゲージメントの強化
Instagram ・・・インフルエンサーのマネタイズ強化
TikTok ・・・ライブコマース、ライブ配信
Spotify ・・・音楽とSNS の連携?

 

ClubhouseやSpacesのような音声SNSの機能は、オンラインでの音楽を通じたコミュニケーションをもっとカジュアルにするでしょう。また、課金ツールが増えることで、口コミの力も強まり、TikTok投げ銭やスーパーフォローのような課金が増えマネタイズの機会増、限定コンテンツやファンクラブ要素でファンの満足度も上がると思います。
広がりと深みを持った発展に期待したいと思います。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

私が運営に携わっているニューミドルマン・コミュニティで、以下のようなイベントを行います。 

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TikTokで「映画感想」で大きな影響力を持つ、しんのすけさんをゲストに、最新のSNS、UGMトークします!

この記事で書きましたSNSの新しい動きについても話していきたいと思います!

 

そして、コミュニティの紹介もさせてください!
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J-POPの世界進出に必要なサブスク「アルゴリズム」の攻略。修正すべき「発売週ピーク」の宣伝手法。

J-POPアーティストが世界でヒットを出すには、言語の壁を超えなければいけないと言われている。しかし、もう一つの重要な壁が存在する。それは、ITプラットフォームのリコメンドを操るアルゴリズムだ。

 

2017年から2018年ごろ、日本でもビッグアーティストによる「サブスク解禁」の流れが生まれ、世界に扉が開かれたように思われた。メジャー・アーティストが世界のマーケットを意識した動きが起ったが、苦戦していることを約1年前のブログに書いた。

https://wakita.hateblo.jp/entry/2020/02/24/160844

 

その後、2020年コロナ禍により、メジャー音楽ビジネスの機能が停止した半面、TikTokから多くの新人ヒットが生まれた。TikTokアルゴリズムは無名のアーティストを広め、Tunecoreで配信された楽曲はオリコン上位にもランクインしたことには驚いた。しかし、それらは国内マーケット内限定の動きであり、海外進出に関してはアニソンの一人勝ちと思われました。

 

日本語曲「summertime」世界ヒットの衝撃

しかし、そんな中、cinnamons×evening cinemaの「summer time」という”君の虜に”のサビで知られる日本語曲がアニメと無関係に東南アジア中心に世界ヒットを知り、日本語の曲の世界ヒットという事件に衝撃を受けました。
https://wakita.hateblo.jp/entry/2020/12/20/130750

 

日本から海外に曲を発信するには、「英語で歌う」ことがマスト。もしくは「アニメタイアップ」。この定説は覆えされました。「summertime」は、東南アジアのTikTokで最も使用された曲となり、日本でも聴けば誰もが「知ってる!」となった曲は今まで存在しません。この「summertime」は、TikTokYouTubeを使ったデジタル・マーケティングで世界中に曲を広めていく事が可能である事を証明した画期的な曲となりました。事務所、レーベルであるグリッジ株式会社さんは、自称「音楽業界素人」と謙遜される異業種の方々です。彼らに詳しく話を聞く中で日本アーティストの海外展開についてもう一度考えさせられました。日本型システムに、楽曲の世界拡散を妨げる原因があるのではないか。。

 

下に、Spotifyで毎年発表される「世界で聴かれた日本のアーティスト」または「曲」のランキングについての各年のトピックを挙げました。(アニメ関係は扱っていません。)

 

■日本サブスク開始前

★2013年 海外のSpotifyで再生されたillion(野田洋次郎ソロ)

★2014年 日本のサブスク開始前に世界でブレイクしたBABYMETAL

★2015年 日本サブスク開始前に米ワーナーからリリースしたONE OK ROCK

 

■日本サブスク開始後

★2016年 ピコ太郎「PPAP」世界ヒット

★2017年 AmPm「Best Part of Us」がリリース。2017年2位2018年4位

★2018年 Yuki Sakura、小瀬村晶、Chihei Hatakeyamaなどインスト音楽

★2019年 宇多田ヒカルSkrillex 「Face My Fears (English Version)」

★2020年 cinnamons×evening cinema「summertime」

★2021年 松原みき「Stay with me 真夜中のドア」

 

何故、世界でヒットする日本アーティストは、日本で無名なのか?

ご覧頂くとわかるように、ほぼすべての曲が、日本でそれほどポピュラーでないアーティストです。

つまり、日本で人気があるアーティストは世界で苦戦する。

 

星野源

星野源は日本を代表するアーティストであり、毎作品が多くの日本人の心を揺さぶるメッセージを発しているスーパースターだと思います。海外の音楽トレンドとも自然に接し、マーク・ロンソンとの共演やスーパー・オーガニズムやトム・ミッシュといったアーティストと共作した楽曲も実現しています。全世界にいくらでも心を動かされるリスナーがいそうな楽曲であり、プロモーションについてもApple MusicのBeats Oneで初の番組を行うなど、異例の待遇を実現し、世界に発信する意欲を感じました。

また、2021年最初のリリースである「創造」は、斬新なサウンドで耳を引き付ける楽曲です。

これらの楽曲がバイラルランキングに登場しないのは何故だろうか。Spotifyのアーティストページに表示される、リスナーの地域も日本の都市が表示される。

 

■嵐

東京オリンピックを視野に入れ、活動休止というゴールに向かいながら、SNSやサブスク解禁を行った嵐、ブルーノ・マーズとプロデュースした「Whenever You Call」など話題を呼びつつ、成果を残すことは出来なかったと言えると思います。日本を代表するアイドルグループであり、海外の日本カルチャー好きなら知っているはずであり、もっと盛り上がって良いのではないでしょうか。この結果にも腑に落ちないものがあります。

同じくアーティストページのリスナーの地域表示は日本国内です。

 

次に、Spotifyで世界で聴かれた上位常連3アーティスト「RAD WIMPS」「ONE OK ROCK」「BABYMETAL」の3つについても書きます。

 

ONE OK ROCK

まだ、日本でサブスクが始まる前、2012年からSpotifyで配信されている。(日本でのサブスク配信は2016年)。2015年にワーナーからアメリカでデビュー。のちにワーナー傘下のロック系レーベルFueled by Ramenとの契約し、この時点でアメリカのロック・シーンで認められたと言ってもいいと思います。西海岸系パンクやラウドシーンにアプローチし、アヴリル・ラヴィーン等現地アーティストよコラボを多く行ってきたこと、ライブ活動も行われ、J-POPとしてではなく、ロックバンドとしての認知を獲得している。ヴォーカルTakaのSNS発信も日本海外どちらにも偏らないよう意識しているように感じます。映画「るろうに剣心」で彼らを知ったアニメカルチャー系の客層がどれぐらいバランスか調べてみる必要もあるが、実写映画であり、メンバーやマネジメントはそこも考えた上でタイアップしているのではないかと思えます。2020年の「世界で聴かれた」ランキングにおいて、ニューリリースがない年で特定の曲のランクイン無しでありながらアーティストランキングに入るほど再生されている。いろんな状況踏まえてONE OK ROCKは世界進出を果たしたアーティストと言えるのではないでしょうか。

 

■BABYMETAL

日本でサブスクが始まる前にブレイクを果たした。2011年にYouTubeにアップした「ド・キ・ド・キ☆モーニング」MVが海外で話題となり、日本と海外どちらが先行したという印象なく早い段階で独り歩きし拡散した印象。そこから2年後2013年「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でのメジャーデビュー。2014年アルバム発売タイミングでのTV『ミュージックステーション』出演しているが、その前に海外ライブも行っている。ライブ活動やプロモーションにおいても日本の音楽ビジネスの手法と海外での活動のバランスをとっていました。

 

RADWIMPS

世界で高い評価を得てヒットした映画『君の名は。』の音楽によって世界で聴かれるグループとなったRADWIMPSだが、2013年、まだ日本でサービス開始前のSpotify野田洋次郎のソロプロジェクトillionがイギリスを中心にプレイリストで広まった。このillionとRADWIMPSの再生とは連関はない。

 

なぜ、日本で人気のアーティストは海外で伸びないのか?

様々な事例について、掘り下げた研究が必要であるので、研究チームでも立ち上げたいところですが、現状の推測を書きます。

やはり、日本での人気が確立してしまったアーティストは海外に出にくい。

日本で流行っている音楽が「日本語」で歌われたローカルな音楽性であることが理由とされてきましたが、スペイン語や韓国語など、英語以外の曲も世界でヒットしている時代なので、それだけでは説明しきれません。

 

日本のプロモーション方法とアルゴリズムの相性の悪さ

Spotifyは、アルゴリズムによってレコメンドを行う。リスナーの聴取傾向のデータをもとに、オススメ曲のプレイリストを作成する。「ロック」「ダンス」「ポップ」などあらゆるジャンル、そして「リラックス」や「元気」「眠れる」などのシチュエーションや用途に合わせて、データを元にAIアルゴリズムとキュレーター、エディターによる二本立てで選曲が為される。このプレイリストこそが、リスナーが知らない楽曲に出会い、魅力を知っていくきっかけになっている。ここに上手く乗ると、どんどん楽曲が回転し広まっていくのだ。

 

日本のメジャー型の楽曲プロモーション、ファンの購買やリスニング傾向が、Spotifyにおける拡散のマイナスとなっていないか?

現状の日本でのリリースでは、配信開始まもなく、SNS告知やTV出演などで日本に住むコアファンが聴いたデータが蓄積し、その曲を聴いているリスナーが「日本人」で「日本人のアーティスト」を好んで聴くリスナーだと判定することになるだろう。特に、星野源や嵐のようなお茶の間人気のアーティストは偏ったユーザー属性と判断されてします可能性が高い。

全世界をフラットに見ているSpotifyアルゴリズムは、自動的に日本アーティストを好むリスナー、つまり日本人の、さらに細かい男女や年代に限定したリコメンドするようになる。この層は全世界で見ると非常に狭い層になってしまう。

 

加えると、この傾向はSpotifyだけでなく、TikTokYouTubeにも当てはまるように思っています。動画コンテンツを日本限定のものにしていないでしょうか?

 

「発売週ピーク」のプロモーション手法の問題

CD時代において、発売日に向けて露出やファンの盛り上がりを煽ることは、初週セールスを最大限にし、その後オリコンランキング上位に入ることで、ランキングプロモーションが有効に機能した。しかし、サブスクやSNS、UGM中心の音楽シーンにおいては、多様な広がりを持つことで楽曲の拡散が起るため、楽曲リスナーが「ある層」に極端に偏ることはマイナスになる。

日本においてのプロモーション手法は、サブスク等には合わないのだ。

 

フォロワー傾向が確立した後に、その層を超えて広げるには、意識的に既存層を広げるアプローチが必要になるだろう。Spotifyで海外で聴かれた曲の中で、ほぼ唯一、日本で人気を確立しているアーティストである宇多田ヒカルの成功は、Skrillexというダンス界のトップアーティストとのコラボであり、そのSkrillexYouTubeアカウントで動画を配信した事など、様々な対策を打ったことが勝因だろう。J-POP好き以外のダンスミュージックファンにもアプローチしたのだ。
このアプローチは、Spotifyを使用していればよく見かける。イギリスのアーティスト、エド・シーランがクラッシック歌手と共演するのも、そういった狙いだし、アメリカのアーティストがラテンアメリカスペイン語圏のアーティストと共演するのも同様だ。

 

アルゴリズムがその人の知りたい知識、情報、コンテンツばかりをリコメンドすることで、偏りを生み出すフィルターバブル、チェンバーエコーといった現象が近年問題になっている。日本の音楽においても近いことが起こっているかもしれない。

 

長年業界で機能し続けてきた、新譜を中心に発売2週ぐらいでプロモーションは終了し、次の新譜へと移っていくCDショップの販売サイクルとも連動した宣伝の仕組みは効率的だ。

しかし、cinammons×evening cinema「summertime」は発売3年後、瑛人「香水」は約1年後、YOASOBIなども、リリースしてからじわじわ上昇させている。デジタルマーケティング型のプロモーションは、長期の地道な宣伝で盛り上げ、ここぞというタイミングでメディアを使う手法が的を得ているように思う。

これまでの手法をやめる必要があるのか?発売週に露出を行うことは間違っていないが、その後、2-3か月地道にネットプロモーションを重ねて打ち続けるのはどうだろうか?

もちろんアーティスト本人、マネジメントが積極的に動くことがマストで、レーベル宣伝も、その動きと連動する事が重要だろう。海外ヒットとまではいかなくとも、海外の日本好きの聴取も自然に広まる余地を作ることでマーケットが広がる。アルゴリズムに今よりも偏りのないデータを認識させることが大事だろう。偏りから、グラディエーションした客層に変化させることで音楽シーン全体の活気を向上させると思う。

 

優秀なスタッフが多くいる日本のレコード会社

日本のレコード会社の宣伝チームには優秀なスタッフがおり、過去のノウハウが蓄積している。その力を効果的にセールスに結び付けるには、仕組みを少し変えることが必要だ。これを検討することで、デジタル拡散の打率は上がり、CD含め音源売り上げを向上させられると考える。

 

ファンのリスニングがアーティストの飛躍にマイナスになるという不幸な状況はあってはならない。

 

最後に、

毎月2回開催しているニューミドルマン・コミュニティMeetUpにて、2021年話題のヒット、シティポップ曲「Stay with me 真夜中のドア」について、ポニーキャニオンの今井さんから多くのお話を聞くことが出来ました。この曲も、日本より海外が先行した事例です。各社協力の下、このような研究を進められましたら日本の音楽シーンの発展に大きく役立てると思います。私としては、このニューミドルマンコミュニティや2022年4月よりスタートする大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻での研究テーマとしたいと考えております。ご一緒してくださる方是非お声掛けください。

 

 

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

次回のNMMイベントはこちら。
本記事と何の関係も無いようで、自分の中では繋がっています。


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Clubhouseの盛り上がりで注目の「音声SNS」について、私と山口哲一さんで語ります。私はClubhouseでも音楽ビジネストークやっております。「Takashi Wakita」@wakitaで検索ください。

 

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アドテック問題。プライバシー、そしてフェイク、ヘイトで稼げる状況っていいんでしょうか?

jp.techcrunch.com

 朝から、Clubhouseでこのトピック話されてました。

最近、iPhoneを触っていると、個人情報の扱いやスマホを見ている時間に関する通知などテックが生活に及ぼす影響についての機能が増えているのに気付きます。

昨年あたりから、CMでも「プライバシー。これが、iPhone。」というキャッチに「?」となった人が多いと思います。

前回までの3回のブログで書きましたが、GoogleYouTube)やFacebookの広告ベースのビジネス「アドテック」の行き過ぎは、1月6日のアメリカ議会侵入事件を機に、対策が進んでいくのでしょう。

それ以前からGAFAなど、ビッグテックを制限する動きが強まっていました。意地悪な見方をすればビッグテックの仲間割れ、責任のなすりつけ合いみたいな風に見えなくもないですね。

こういったプライバシー保護や「ヘイト」「フェイク」の防止などの仕組みを作ることにどれほどの開発コストがかかるのか。ビッグテックは責任を持つべきだ!と叫ぶのは簡単ですが、営利企業なので、それをしないと損するという圧がないと動けないかと思います。

 

プライバシー問題は重要ですが、最近、私の頭を悩ませている問題は、「フェイク」「ヘイト」問題です。表現の自由は大切、そこに制限がかかるべきではないですよね。

でも、事実と異なる嘘の情報、さらにそれを元にした他社への攻撃、差別や誹謗中傷など。これを監視し、抑えつけるより、発信され世にさらされて、ガス抜きされたり、そういう考えがあるのだなという現実として認識されたり、議論が起ったりすることで、結果的に社会が良くなる。それが理想です。

でも、今の状況は、この理想と離れています。
表現というよりビジネスでやってる人多く見かけます。
過激な意見はバスりやすいし、フォロワーも増える。
敵を作った方が儲かると考えて、金儲けや個人的なメリットを求めて、「フェイク」「ヘイト」を発信している人たちがいる。

この人たち、もっと制限されていいのでは?

「発言の自由は保障されていたとしても、広告はつけられない」といった案などいかがでしょう?
アドテック」業界の方々も危機感感じられてるでしょう。

人間心理のバイアスを狙った、軽い「釣り」レベルのものから、「ヘイト」「フェイク」、詐欺まで、ここまで影響力が強くなった以上、対策が必要なのは、私が言うまでもない事だと思います。今後の動向に注目したいです。

 

あと、音楽関係者、エンタメ人として言いたいのは、そこに「愛」や「美意識」「生き様」はあるのか?人をだましたり、傷つけたりする表現、発信する者がフォロワーを増やし、稼げるSNSやUGMであってはいけないと思います。

 

wakita.hateblo.jp

 

 

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音楽は「フェイク」「ヘイト」を超える③PV至上主義の限界、音楽に出来ること

2月12日に行うニューミドルマン・コミュニティでのイベントに向けて書いてきた、このテーマでの記事の3回目。

音楽が「フェイク」や「ヘイト」を超えるか?というテーマを掲げていますが、超えなければいけない。もっと言えば、音楽や生活を含め文化がターゲットになっている。そこから守らないといけない。超えなければいけないと思っています。

 

nmmmeetupextra202102.peatix.com

 

生活に不可欠なインフラとなったSNS

大手SNSは、すでに社会的なインフラとなっている。
私はTwitterFacebookYouTubeを生活に欠かせない「水道、ガス、電気」と呼んでいる。また、バスや鉄道のような移動手段でもあるでしょう。

にもかかわらず、各企業の利益追求中心で運営されている状況は、狙われやすく非常に利用されやすい。危険な状態であると思います。

TwitterFacebookGoogleYouTube)といったSNSCGM(Contents Generated Media)は、アクセス数や再生数、アクティブユーザー数などのPVを基準に価値を生み出している。嘘でもいいから人の心を揺さぶる「フェイク」と怒りの感情を煽る「ヘイト」は、このPVを生み出す。

アメリカ大統領選挙における、様々な出来事はそのことを表わしていると思います。

 

文化がハックされている

前回の記事で書いた、イギリスのEU離脱トランプ大統領の誕生など、ケンブリッジアナリティカ事件から私が考えたいのは、これらの事件で文化が利用されたことの危険さです。

「情報兵器」は、虚実入り混じり、アンダーグラウンドからマスメディアまで、嘘とふざけで驚きと炎上を起こし、人の「心」を動かし続けている。

数字を稼ぐ投稿はSNSプラットフォームにとってお得意様で、再生数の多い動画には、広告がつくことによって、動画主は収入を得られる。

かって、匿名掲示板で悪態をついたり、嘘を元にして誹謗中傷したりはストレスの発散や承認欲求を満たすことが目的でした。

今、「フェイク」や「ヘイト」は、そんな次元を軽く超えて、「不快なコンテンツほどバズる」金が稼げる広告ビジネスとなっています。そして、そのビジネスをだれも止めないどころか、成功者を数多く生み出し、拡大し続け社会政治を動かしています。

匿名掲示板、不正な個人情報の入手、マイクロターゲティング広告の悪用。

これらの問題に対して、大手IT企業は、厳しい理念を自らに課さなければいけないが、アクセス数、再生数、PV主義で広告利益を上げるビジネスモデルを持つプットフォームにそれが出来ると信頼できるのか?信用を失っている。
すでに、言ったもんがち、やったもん勝ちの世の中を生み出してしまっている。それが自由競争だと言う意見に対して、ロビー活動や献金、研究科による論陣を張り巡らさし、法的に優遇を受けているという指摘もある。

 

 TVの世界でも、番組側が数字を稼ぐために誇張した表現や事実と異なる情報を流したり、ヤラセ、つまり「フェイク」を行う場合がある。これらが発覚した際、番組側や放送局、さらにはスポンサー企業も責任が問われる。BPOhttps://www.bpo.gr.jp/?page_id=912放送倫理・番組向上機構は、NHKと民放によって、放送の質を向上させる活動を行っている。

 

自己規制?法規制?SNSのモラル、ルールはどのように課されるべきか?

こういった団体の設置やルールの設定をインターネットにも適用するべきだという考えがある。しかし、制限が、表現の自由を制限したり、コンテンツをつまらなくする可能性がある。インターネットは、既存メディアが見落としたり、扱えないような情報をユーザーが発信できるからこそ、誰もが平等に知識を得られたり、考えや意見を発信できる。規制を行うことで、既存メディアと変わらない情報傾向となり、多様な意見や表現が自由にい行き交うことで起こるイノヴェーションや進化の芽が失われるのではないかという考えだ。

不快なコンテンツほどバズる、つまり広告ビジネスを促進するために、バズるコンテンツにブレーキをかけたくない、再生回数や閲覧数が増えることを止めたくないというジレンマに陥る。

 

「Free」の終わり、その先?
つまり、誰もが、インターネットで自由に無料で情報を入手できる。そして、ネット企業は数字のために何をしてもいい(Free)。そのような理念の良い面、悪い面を考えないといけないだろう。

急速な発展やそれまで無かった新しいサービスに法整備が追い付かないことをいいことに、権利侵害、人の所有物を使って広告収入を得たり、違法な行為を行い、裁判に負けるまで、その行為を止めない。また、支払いも可能な限り安く済ませようとする。このような破壊と創造の繰り返しに世の中は疲れてきているかもしれない。(自分だけ?)

 

アメリカにおいての、ユーザーの発信やコンテンツに関しても責任を負わなくていいという。『通信品位法』230 条の改正も議論となっている。プラットフォームは社会的責任をどのように担っていくのか?担わずにはいられないだろう。

 

音楽とITに起こったこと 

 

 

ここで話を音楽ビジネスとITに移そう。サブスクリプション・ストリーミングサービスで公式の音源聴き放題を作り上げたのがSpotify。違法ダウンロードに悩まされ、売上が落ち続けた音源ビジネスをV字回復させ、音楽ビジネスのデジタル化を軌道に乗せた。

また、2019年ごろから、音楽ヒットを次々と生み出し、日本でも新人アーティストを世に出したTikTokは、金銭発生はないが、公式にレーベルと契約を結び、動画作成の機能に音楽メニューを設置している。

音楽シーンにおいては、度々アーティストがITプラットフォームへ異議を唱えることがある。テイラー・スウィフトApple Musicからの報酬について講義した事、Spotifyの無料プランについて反対した事、これらは、いずれも「無料」(Free)についての反対意見として、大きな影響力を発揮した。

楽曲配信に関する苦言と提案が与えた影響力。【テイラー・スウィフトの金言vol.3】 | Vogue Japan


また、2017年、Spotifyは白人至上主義を唱えるバンドの音源を削除した。

www.billboard-japan.com

「違法なコンテンツや、ヘイトに賛同したり、人種や宗教やセクシュアリティーに対する暴力を煽るような楽曲は容認しません」といったコメントを米ビルボードに回答している。

また、同年、性的暴行の疑惑がある、R・ケリーやXXXTentacionといった人気アーティストを人気プレイリストから外したことで、大きな批判を受け、人気プレイリストから外した「検閲」の撤回を行うという出来事も起こっている。

news.yahoo.co.jp

 

「ヘイト」や「差別」を放置してはいけない、しかし、明確な方針や責任所在がないと、音楽シーンの発展を妨害することになってしまう。Spotifyが行動を起こし、アーティストと対話が起った。こういう一つ一つ議論をして、解決していくことが大事なのだろうと思う。

 

音楽の世界は「嘘」に厳しい。

アーティストは常に楽曲や演奏の評価にさらされるし、それだけでなく見た目や人柄、言動、すべて厳しい目が向けられる。手を抜くとすぐ見抜かれる。嘘をつくとすぐばれる。あっという間に批判は広がり、好き放題勝手な事を言われ、心無い誹謗中傷も「アンチは人気の裏返し」。「感動」つまりは、人の心を動かすことを職業とすることはそれほど、厳しい状況で戦っていくことのだと思う。そういった長い歴史の積み重ねの中で、言葉では表せない多種多様な「愛」を歌ってきました。

何が「真実」で何が「嘘」なのか。

ボブ・ディランが言っているように、答えは風(音楽)の中。村上春樹さん的に言えば、風の歌に聴け。ですね。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

2021年、「フェイク」「ヘイト」の問題はどこか遠くの無関係な話ではなく、私たちの生活や文化にとって重要な問題です。音楽に関わる人、音楽を愛する人とこのテーマについて話したいと思い、考えを書いてみました。

興味ある方、是非、イベントに参加したり、SNSで絡んで頂ければ嬉しく思います。 

 

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音楽で「フェイク」「ヘイト」を超える②「人生に必要なことは音楽から学んだ」

「フェイク」や「ヘイト」が蔓延するSNS社会が及ぼす深刻な影響は深刻に対して音楽は何ができるのか?

2/12日行うイベントに先立ち、記事を書いております。

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前回、「フェイク」「ヘイト」がなぜここまで人を動かすかという問題について、アメリカ政治を事例にスティーブン・バノンケンブリッジ・アナリティカ(CA)事件を中心に書きました。

バノンや、CAのクリストファー・ワイリーは政治を変えるために「文化」を利用しました。バノンは近未来ディストピア小説からインスパイアされ、プロパガンダ映画を制作し、匿名掲示板で起こったゲームユーザーたちの反ポリコレの動きから、着想を得ています。

wakita.hateblo.jp

 

日本にルーツを持つアメリカの匿名掲示板でヲタク たちが繰り広げる、怒りやコンプレックス、不安、不満に着目し、政治利用したバノンは、ある意味で人間の特性を知り尽くし、何をすべきかをいち早く見抜き、行動を起こし、システムとコンセプトを作りあげた人物だと言えます。

バノンやトランプの人間理解は「ダークサイド」とも言うべき、人間の弱さに付け込んだ操作。私のような音楽をもとにした人間観を持つ者には相容れないものがあります。

トランプの政策に関して評価する考えも一定の理解ができますし、人それぞれ自由な考えがあっていいです。オルタナ右翼だろうがリベラルだろうが「フェイク」「ヘイト」については、誰もが反対ではないでしょうか。エンタメで許されることも、政治に利用してはいけません。バノンやトランプが行った「文化」や「情報」を武器にした戦いに、音楽人は防御、対抗していかないと思っています。たかが「音楽」、されど「音楽」です。
テクノロジーの発達は、法や経済システム、モラル、慣習が変化するスピードをはるかにを超えております。TwitterFacebook他大手プラットフォームが、トランプやトランプ支持者にフル利用されました。議事堂侵入という犯罪が起こったことは、テクノロジーの進歩、社会の変化に、ルールやモラルが追いついていない事の表れです。今後もこういった事は起こり続けると言われています。おそらくそうでしょう。

 

音楽による人間理解

人生に必要なことは全て音楽で学んだ。
言葉、メロディ、リズム、サウンド、、ここから受ける感情を伴った豊かな情報は、先人からの歴史を学ばせてくれ、まだ見ぬ未来を感じさせてくれます。

超一流のエンタテイナーであるドナルド・トランプは、音楽も演出ツールの一つとして有効に使おうと考えましたが、アーティストから使用を反対されています。

www.businessinsider.jp

意図的に作品のメッセージと違う使い方、さらに政治的な場で人心操作に使うことは危険です。また、白人至上主義思想への賛同は、音楽人なら受け入れることが出来ない思想だと思います。
音楽や芸術は、政治やビジネスに利用されきた歴史があります。
音楽人の葛藤の歴史は、NHK朝ドラでも描かれました。

www.youtube.com

 

しかし同時に、物事は単純ではなく、善か悪かでは片付かない。カニエ・ウェストの投じた一石、キレイ事だけでは済まない。これもまた「音楽」だと思います。

rockinon.com

 

 音楽から学ぶ

「音楽で学ぶ」という考え方は、科学技術の最高峰教育機関であるMITでの音楽科目を採用され、4割の学生がこの授業を受けているそうです。

「技術革新が進むほど、人間理解が求められる」

ニューミドルマン・コミュニティ、大阪音楽大学でもご一緒している山口哲一さんから、推薦されたこちらの本『MIT マサチューセッツ工科大学 音楽の授業 世界最高峰の「想像する力」の伸ばし方』には、音楽を通してどのように社会と関わっていくかについて、重要なヒントが沢山書かれています。 

私は、これまで、音楽プロデュースやマネジメントの仕事を続けてきた中で、まだ見えない時代の空気を予言したような作品の誕生に沢山出会えました。また、学びが仕事に役立つと考えてきましたが、音楽そのものが学びであるという考えはこれからの仕事で形にしていきたいと思います。
コロナ禍により、更に先が読めない時代が到来し、DX(デジタル・トランスフォーム)が進む中、音楽で社会の幸せに貢献したいと心から願います。

この記事を書いているときの気分をもとに選曲し、プレイリストにしてみました。
関係ありそうな、なさそうな曲たち、さんざん理屈こねましたが、理屈じゃない部分も。

 

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。
イベントやオンラインで、この話題について意見を交わすことを楽しみにしております。

↓イベント参加はこちらから! 

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ニューミドルマンコミュニティは、
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音楽の力で「フェイク」「ヘイト」を超える為に考える

1月6日にアメリカ、ワシントンで起こった議会襲撃事件から1か月。

「フェイク」や「ヘイト」を放置したTwitterFacebookへの不満をありますし、ビッグテックを優遇した政治の責任も問われるべきだと思います。が、そもそもの話、どのように「フェイク」「ヘイト」はウィルスのように広まってきたのでしょうか?
2月12日に私が運営に携わっているニューミドルマンコミュニティのイベントに行います。

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そちらに先立ち、オルタナ右翼~襲撃事件へと連なる、文化を「武器」として政治に利用した問題について考えてみました。

 

私が身を置く音楽ビジネスにおいて、今やSNSは不可欠。
特にTwitterFacebookInstagramYouTubeら主要ツールについては、プロモーション活用といったレベルではない、「それがないと生きていけない」 ”インフラ”、水道ガス電気、家や道路ぐらいの存在です。

これら主要SNSや匿名掲示板サイト、動画サイトなどで、カバーやパロディ、尖った表現など、著作者、権利者の許容範囲の中で最大限、言論や表現の自由の下、発信が行われています。模倣や改変、批判や極端な言論や創作もエンタメやアートの世界では許されています。極端に言えば「パクリ」も愛があればOKだったり。。

しかし、今回起こったことは、こういったエンタメ、アートの自由さ、ゆるさを現実社会の政治に持ち込んだ動きです。誰もが発信できるSNSでの自由がハッキングされ、政治利用されたと考えます。

 

スティーブン・バノン「文化から政治を変える」

以前『マインドハッキング』についての記事を書きました。軍事コンサルタント会社ケンブリッジ・アナリティカ事件の開発者による告発本です。

SNSの規制をかいくぐり大量の個人データを取得、AIを駆使して、心理学者とエンジニアが共同でビッグデータ解析とナラティブ(物語)制作を行い、マイクロターゲティングで発信、投票行動に影響を与える操作を行ったケンブリッジ・アナリティカ(CA)についての告発本です。

この本に登場するキーパーソンである、スティーブン・バノンは、トランプ大統領を生んだ男として知られ、ホワイトハウスで首席補佐官まで登りつめました。ステーブン・バノンの考えは、政治を変える為に、文化を使い戦う「文化戦争」という考えです。

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ハックされた「カルチャー」

日本でもTwitterで多く見られる「陰謀論」について、「?」な方が多いと思いますが、このスティーブン・バノンはそのカギを解く存在だと言えます。

バノンの経歴は、

アメリカ海軍「戦争」
・ゴールドマンサックス「金融」
・香港でゲームアイテム販売会社IGE経営「ヲタク」
・ハリウッドで右派映画プロデューサー「エンタメ」
ブライトバート・ニュース「フェイク」

頭がよく、体力があり、金に強いマッチョが、ネットの力で革命を起こそうとしたと言えます。

 

詳しくは、『マインドハッキング』と合わせて、以下の書籍に詳しく書かれています。 

 

AI vs.民主主義: 高度化する世論操作の深層 (NHK出版新書)
 

 

匿名掲示板と反ポリコレ

バノンは、匿名SNSにも注目し、これを政治利用することを目指しました。
4chan、8kunといった、日本の2チャンネルに影響を受けて生まれています。その中にはヲタク(ナード、ギークインセル、ベータ、、)、プアホワイト、小児性愛者、犯罪者といった集団が、社会モラルや法の外で、誹謗中傷、フェイクや人を馬鹿にした笑いなどを書きこみ合っています。バノンは、匿名の”怒り”や、何でもありな場のエネルギーを利用できると考え、ターゲットとします。

2014年に起こった「ゲーマ―ゲート事件」はヲタクとポリコレの対立のルーツともいえる出来事です。ゲームの中での女性(性的、ロリコン的な表現)へのフェミニズム的な意見に対してゲーマーやゲーム関係者から生まれた匿名掲示板を中心に広がった大きな反発です。

バノンは、フェミニズム、人種差別撤廃、環境問題、グローバリゼーションなどに対抗するために、この勢力を海軍時代に見たイスラムゲリラのような革命軍に出来るという着想を得たそうです。

私たち日本人にとっても、ジャパンカルチャーが世界に与えた影響の影の面としても認識しておくべきべきトピックだと思います。

 

トランプとの合流 

「革命家は常に芸術家」と考え、文化を武器にしたバノンと、権力、権威をエンタテイメント化する天才パフォーマーであるトランプが組んだチームが、掲示板などの地下メディアとSNS、ケーブルTVやFOXのような大手メディアを繋げることで、社会に眠る怒りを呼び起こし、攻撃へと仕向けたのだと思います。

『マインドハッキング』や『AI vs 民主守護』の中には、実際に開発を行ったクリストファー・ライリーによる「情報兵器」と呼ばれる、以下の3つの要素を組み合わせたオンラインのマインドコントロールの仕組みについて書かれています。詳しく知りたい方は是非、読んでみてください。

 

具体体な手法

Facebookから得た8000万人分の個人情報を収集
・パーソナリティ5因子モデル(ビッグ5、OCEANなどと呼ばれる)、ダークトライアド(暗黒の3大特性)を用い、衝動的怒りや陰謀論に傾きやすい集団を抽出
・怒りに火をつける、不快なコンテンツ、腹正しいコンテンツを作成(最もバズるのは不快な内容)※フェイクあり
SNSアルゴリズムとターゲット広告を活用
オルタナ右翼サイト、ブライトバートニュースや大手のFOXといったメディアを複合させる
・トランプが、「メキシコに壁を作る」「アメリカ・ファースト」また、対抗候補への攻撃など。

これらが、すべて合わさり、大きなうねりを起こしています。

 

文化をめぐる戦い

『マインドハッキング』の著者クリストファー・ワイリーは、バノンに魅了され、CAにて情報兵器を発明しイギリスのEU離脱選挙や2016年大統領選で成果を挙げますが、不正の数々に良心を痛め、CAから離脱し告発します。

このクリストファー・ワイリーがなぜ、バノンに魅了されながらも、告発へと向かったの心境の変化の中に「カルチャー」観、つまりファッションや音楽への愛で育てられた良心があります。

トランプ政権、ナショナリスト、ポピュリストが、富裕層やビッグテックを優遇し、格差を生んでいることへの不満を代表している面があり、何が正義なのかわからなくなることがあります。1社会の分断、対立について目をそらさず向き合うには、自分を支えてくれている何かが必要です。私にとってそれは「音楽」です。「嘘」「憎しみ」ではなく「心」と「愛」で考える。「真実」「愛」を信じる音楽教信者(まじめ笑)として戦っていきたいと思っています。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。
イベントやオンラインで、この話題について意見を交わすことを楽しみにしております。

 

イベントでは、プラットフォーム規制などについての話も重要かと思いますが、その背景になるこれらの情報もまとめる準備をして臨みたいと思います。

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世界が”#君の虜に”~「summertime」はTikTok、Spotify、YouTubeでグローバル・ヒット

 2020年、音楽シーンを語る時に避けて通れないトピックとなったTikTok
「ドルチェ&ガッバーナ」(香水)、「きゅんです」、「ぴえん」、「マイラ」、、全世界で数々の音楽ヒットを生むTikTokは、日本でも沢山のヒットとブレイクをもたらしました。


そんなTikTokヒットの中でも、TikTok流行語大賞ミュージック部門賞を獲得した曲「summertime」は、2020年音楽ビジネス屈指の注目曲、現象だと強く言いたいです。
 


cinnamons × evening cinema - summertime (Official Music Video)

 

TikTokでは、日本のみならず世界でバズを起こし、2020年7月には、東南アジアでのTikTok使用楽曲1位となっています。 

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cinnamons

 

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evening cinema

 

頭サビからの、キュートな女性ヴォーカル、ソフトなシティポップサウンドが魅力がいっぱい詰まったポップソングですが、他のTikTok曲とは違い、バンド形態での2アーティストによる楽曲です。

 

TikTok流行語2020大賞、「#きゅんです」に決定!年に一度のTikTokクリエイターの祭典「TikTok CREATOR'S LAB. 2020 -REFLECTIONS-」開催レポート|Bytedance株式会社のプレスリリース

 

TikTokだけじゃない!
Spotifyでも、拡散し続ける「summertime」

この「summertime」は、Spotifyの、世界で聴かれた日本の曲で7位にランクインしています。(トップ10内「summertime」以外は全てアニメタイアップ。)

 

 

しかも、日本語で歌われるポップソングです。
これは快挙と言っていいでしょう。そして、坂本九の「スキヤキ」(「上を向いて歩こう」)のように、いろんな国で日本語でカバーもされています。

東南アジアのバズから→日本で再燃し、現在、インドやアメリカでも数値が上昇。発売から3年以上が経ち、今も”#君の虜に”現象は拡大し続けています。

 

(告知)12月26日に、このcinnamonsとevening cinemaが所属するグリッジ株式会社の代表籔井健一さんと取締役柚木想子さんをお迎えして、このヒットの秘密に迫ります。 ご興味のある方は是非ご参加ください!

musictechradar20201226.peatix.com

 

 

グローバル音楽シーンで、日本からヒット、ブレイクを生むことが大変だということは皆さんご存知でしょう。

サブスク解禁の波が数年遅れで始まった2019年、錚々たるアーティストが挑戦した”世界進出”が容易でなかったことは、今年初めごろ以下の記事で書きました。 

wakita.hateblo.jp

 

もう、国内と外と分けて「世界進出」という言葉を使う事時代が時代とズレているのです。私たち音楽関係者は、この感覚を修正し、アーティストの持つグローバルな感性を開放していかなければならないと思います。

ちなみにアニメタイアップ曲がSpotifyで世界で聴かれる状況は、NetFlixAmazonなどで日本のアニメが世界で拡大しているからです。

 こちらは、Spotifyの、2018年海外で最も再生された日本のアーティスト・ランキング。
1. ONE OK ROCK
2. RADWIMPS
3. Nujabes
4. 坂本龍一
5. BABYMETAL

このランキングがアニメタイアップで占められるようになったのは2019年からです。
アニメも、楽曲もまず、手元で観たい時、聴きたい時に聴ける状態にすることが大前提なのです。サブスクの普及が現代音楽ビジネスの前提になっていることがわかります。

 

"#君の虜に"summertime現象はなぜ起きたのか?

さて、「summertime」が、最初からこのように全世界で聴かれる事を狙った曲ではありません。2017年にリリースされたこの曲は、親交のあったcinnnamonsとevening cinemaのコラボ曲であり、目的は2つのアーテイストのお互いの良さを引き出し合う事であったと思います。

そして、アーティストとパートナーシップを結び、この曲のグローバル・デジタル・マーケティングを粘り強く続けたグリッジの籔井さん、柚木さん。音楽とアートをグローバルにブリッジする(Global+Bridge=Gridge)お二人は音楽業界で仕事した経験はありません。日本の業界の内向きな発想に染まらず、日本の音楽やアートを世界と繋げる事業を行うベンチャー企業です。

なんとなくわかってきましたね。世界への壁は「言語」ではない。マインドです。

 

グリッジの二人が、どのようにアーティストとパートナーシップを結び、デジタルマーケティングを使って世界と繋げていったのか、多くの人に知ってもらうとともに、掘り下げていければと思います。このようなテーマに関心のある方は是非、一緒に考えましょう。

 

 

 

 再度告知です!

12月26日(土)20時より!

MusicTech Radar Vol.11

「#君の虜に~」アジア~日本:デジタル&グローバル時代のヒット誕生の物語 

ゲスト:グリッジ株式会社 代表取締役 籔井健一/取締役 柚木想子

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MusicTechを実践&研究するニューミドルマンコミュニティの月いちMeetUpイベントです。Sweet Soul Recordsの山内さん回、グラミーノミネート・ミュージシャンのstrRoさんに続く、「グローバル」3部作といった感じですね。

 

musictechradar20201226.peatix.com

 

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